太平洋戦争における最後にして最大の戦いと言われるのが、通称・沖縄決戦です。これは、昭和20年4月1日に米軍が沖縄に上陸を果たして行われた戦いで、日本軍は米軍の圧倒的な火力の前に為す術もなかったと言われています。このことは、テレビや映画などでもたびたび語られるため、知っている方も多いと思います。
しかし、そんな戦いの影には、唯一終戦まで戦い抜いた歩兵第三十二聯隊第一大隊がありました。本書は、この部隊を率いた弱冠24歳の大隊長・伊東孝一の知られざる軌跡を通じて、沖縄戦の真実に迫っていくものです。そこには、米軍との戦いの中にあった凄惨な場面も数多く登場しますが、それ以上に目を惹くのが硬直化した日本軍の中にあって、ただ1人柔軟に戦術を駆使した伊東の姿です。
たとえば、劣勢の日本軍が反撃を起こそうと企図された棚原高地の戦いでは、他の部隊が全く歯がたたない中で、伊東率いる部隊だけが地形や時間帯を利用した巧みな戦術によって、相手陣地まで分け入ったというのです。自分と年齢の近い若者が、唯一最前線で戦い抜いた姿には、胸を打たれるものがありました。
今年は戦後70年の節目の年です。改めて戦争史を学びたいという人はもちろん、24歳の大隊長の戦いに興味がある人も手にとってみてはいかがでしょうか。
ナタデココ/男性/20代
感想文を募集中!
本を読んだ感動を伝えたい!という方、オススメしたい本があるという方は、 応募フォームから、感想文を送ってください。
コメント欄に「読書くらぶ」と明記のうえ、下記のご記入をお願いします。
【1】読んだ本のタイトル
【2】著者名(翻訳本の場合は、翻訳者名も)
【3】発売元(出版社名)
【4】本の感想
送っていただいた感想文の中から、毎週1人、掲載させていただきます。
作品紹介
若き野戦指揮官と800名の部下の激闘。本土決戦のために捨て駒とされた戦場・沖縄での無謀とされた総攻撃。そのなかで任務を達成し、終戦の日まで闘い続けた唯一の部隊「歩兵第三十二聯隊第一大隊」の軌跡。沖縄戦の真実を描いた本格的ノンフィクション。
笹幸恵・著
定価:本体1,800円+税/学研プラス
バックナンバー
- お金はお金。「必要なのかそうではないのか」を考えることでお金は貯まる。
- 本当の平等って? 幸せって? 暮らしをつくるあたらしい資本論
- こうあるべき、こうしないといけない、そんなことは書いていない殿さま狸
- 日本刀の名称から名刀にまつわる逸話まで
- たった一分の習慣が一生を変える!幸せな人生を送るための49のヒント
- 人は人、自分は自分。たくましく生きるためのヒントが詰まった一冊
- 「天才の机は汚い」というのは幻?
- 感じて、妄想して、味わう。山城の美しさはその存在感にあり。
- 人生は「習慣」の積み重ね。幸せになれる習慣とは?
- 「五感を信じる」
- 「神様は嫉妬心のない人が好き」
- 「木村藤子という心がまえ」
- 「僕が愛をうけとった日」
- 「シロクマ・ピースというぬくもり」
- 「優しい気持ちになれる本」
- 会話に自信を持つための『一瞬で心をつかむ話し方』
- 気持ちの持ちよう次第で、自分の理想的な人間像に近づける
- 自分だけの“こたえ”の見つけ方
- 尾木ママが教える「パパママもジイバアも幸せになる孫との接し方」
- 舞台は江戸。でもどこかモダンで読みやすい時代小説。
- 『風の旅』に読む、人の正直さ
- 「頑張っていれば必ず誰かが見ている」ということ
- ハングルがもっと身近な存在になる!
- 運気は自分であげられると確信した瞬間
- 『愛、深き淵より。』その意味を考える
- 美人とブスの違い、その差はどこに表れるのだろうか、顔?性格?所作?
- うつろ屋軍師
- わたしはマララ