沖縄戦を率いた弱冠24歳の大隊長・伊東孝一の知られざる記録

読書くらぶ

更新日 2020.07.20
公開日 2015.09.08
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 太平洋戦争における最後にして最大の戦いと言われるのが、通称・沖縄決戦です。これは、昭和20年4月1日に米軍が沖縄に上陸を果たして行われた戦いで、日本軍は米軍の圧倒的な火力の前に為す術もなかったと言われています。このことは、テレビや映画などでもたびたび語られるため、知っている方も多いと思います。

 しかし、そんな戦いの影には、唯一終戦まで戦い抜いた歩兵第三十二聯隊第一大隊がありました。本書は、この部隊を率いた弱冠24歳の大隊長・伊東孝一の知られざる軌跡を通じて、沖縄戦の真実に迫っていくものです。そこには、米軍との戦いの中にあった凄惨な場面も数多く登場しますが、それ以上に目を惹くのが硬直化した日本軍の中にあって、ただ1人柔軟に戦術を駆使した伊東の姿です。

  たとえば、劣勢の日本軍が反撃を起こそうと企図された棚原高地の戦いでは、他の部隊が全く歯がたたない中で、伊東率いる部隊だけが地形や時間帯を利用した巧みな戦術によって、相手陣地まで分け入ったというのです。自分と年齢の近い若者が、唯一最前線で戦い抜いた姿には、胸を打たれるものがありました。

  今年は戦後70年の節目の年です。改めて戦争史を学びたいという人はもちろん、24歳の大隊長の戦いに興味がある人も手にとってみてはいかがでしょうか。

 

 ナタデココ/男性/20代

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作品紹介

『沖縄戦 二十四歳の大隊長 陸軍大尉 伊東孝一の戦い』

若き野戦指揮官と800名の部下の激闘。本土決戦のために捨て駒とされた戦場・沖縄での無謀とされた総攻撃。そのなかで任務を達成し、終戦の日まで闘い続けた唯一の部隊「歩兵第三十二聯隊第一大隊」の軌跡。沖縄戦の真実を描いた本格的ノンフィクション。
笹幸恵・著
定価:本体1,800円+税/学研プラス

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