生まれ変わることは、新しい分身を手に入れることです。
新しい体験・新しい勉強・新しい出会いをするたびに、世界が広がって、新しい分身がどんどん増えていきます。
たとえば、字を習いに行くと、「子どものような字を書いていた自分」に「大人の字を書ける自分」がインストールされます。
結婚式で記帳する時は、「大人の字を書ける自分」を出すことができます。
話し方を習いに行くと、「話しベタな自分」に「話し上手な自分」がインストールされます。
結婚式のスピーチをする時は、「話し上手な自分」を出すことができるのです。
体験も勉強も、大きな意味では出会いです。
出会うことによって、新しい分身が生まれています。
1冊の本を読んだ瞬間に、新しい自分が生まれるのです。
新しい自分が生まれても、前の自分をリストラする必要はまったくありません。
とっておけば、何かで使えるのです。
すべての人は、「明るい自分」と「暗い自分」を持っています。
サービスマンだからといって、「暗い自分」を捨てないことです。
静かにしたいお客様には、「暗い自分」が合うのです。
1人の中にも、「おしゃべりな自分」と「無口な自分」とがいます。
ずっと、おしゃべりな人はいません。
話してはいけない状況では、「無口な自分」を出します。
チーム全体では、軸はブレていません。
いろいろなキャラがあるほうが、使えるのです。
将棋で一番困るのは、手持ちに同じ駒しかないことです。
バリエーションがあることが、強いのです。
勉強するのは、自分の分身を増やすためです。
スポーツの練習をするのは、スポーツがうまい分身を取り入れるためです。
分身が増えていくことで、メンタルは強くなります。
メンタルの弱い人は、出す分身がないのです。
たとえば、「人の話を聞かない自分」は、堂々めぐりをしているお客様の対応に使えます。
どうせ聞いていないので、何を言われても平気です。
「人の話を一生懸命聞く自分」だけでは、堂々めぐりの相手には太刀打ちできないのです。
影が薄くて存在感のない人も、そういう自分を捨てなくていいのです。
その人は、スパイになれます。
テロ対策要員で飛行機に乗っている人は、頼りなさそうな人です。
見るからに警備の人に見える人は、テロリストにバレるので、使えないのです。
自分が短所と思っていることは、長所でもあるのです。
中谷 彰宏 (なかたに あきひろ)
1959年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科卒業。84年、博報堂に入社。CMプランナーとして、テレビ、ラジオCMの企画、演出をする。91年、独立し、株式会社中谷彰宏事務所を設立。ビジネス書から恋愛エッセイ、小説まで、多岐にわたるジャンルで、数多くのロングセラー、ベストセラーを送り出す。「中谷塾」を主宰し、全国で講演・ワークショップ活動を行っている。
■中谷彰宏公式ホームページ
http://an-web.com/
作品紹介
嫌いな自分は、捨てなくていい。
メンタルを強くする67の方法
仕事でも恋愛でも、メンタルが強い人がうまくいく。メンタルは生まれつきではなく、磨くことができる。メンタルを強くする方法。
定価:本体1300円+税/学研プラス
バックナンバー
- 「好きなこと」を探すのではない。 「それをしているのが好きな自分」を 探すのだ。
- リストカットは、死にたいのではない。 嫌いな自分を殺して、 好きな自分を生かしたいのだ。
- 1つの自分に、絞らなくていい。 複数の自分の分身から、自分が選べばいい。
- ガマンするのではなく、 感情をコントロールできる力をつける。
- 負荷とは、仕事の量だけではない。 したことがないことをすることも、負荷だ。
- 負荷から、工夫が生まれ、結果になる。 結果を先に求めると、メンタルが弱くなる。
- メンタル力は、先天的なものではない。 負荷をかけることで、アップする。
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