会話は、毒にも薬にもなる。

中谷彰宏『会話力のある人は、うまくいく。』セレクション

UPDATE 2020.08.06
公開日 2015.04.30

 いいお医者さんは、会話力のあるお医者さんです。
 注射や薬で治療するのではなく、会話で治療するのです。
 患者さんにとっては、恥ずかしいこと、みっともないことを話しやすいお医者さんが、いいお医者さんです。
 たいていの人が病院嫌いなのは、お医者さんに叱られるからです。
「なんでもっと早く来なかったんだ。ダメじゃないか、こんなになるまで放っておいて」と叱られるのです。
 ただでさえしんどいのに、さらに怒られると思うと、ますます行きたくなくなります。
 もう少し様子を見てみようということで、さらに症状が悪くなるのです。
 お医者さんに「来てくれてありがとう」と言われたら、「来てよかった」と思えます。
 症状がひどくなっていても、「こんなになって、しんどかったでしょう」と言われると救われます。
 本来、お医者さんが「来てくれてありがとう」と言うのは、おかしいのです。
「ありがとう」と言うのは、患者さんのほうです。

 歯医者さんで、痛い治療のあとに「頑張りましたね」と言われます。
 頑張ったのは、先生です。
 患者は、やってもらっているだけです。
 僕は、2カ月おきに歯の定期検査に行っています。
「来てもらえるだけで、中谷さんは成功です」と言われると、ウレしくなります。
 言葉の薬が、患者さんに効くのです。

 お医者さんと患者さんだけのことではありません。
 上司と部下でも、恋人同士でも言葉の薬があります。
 薬にもなれば毒にもなるのが、会話です。
 薬としての言葉を、たくさん覚えていくことです。
 人を元気にする薬言葉のスタートラインが、挨拶なのです。

 

中谷 彰宏 (なかたに あきひろ)

1959年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科卒業。84年、博報堂に入社。CMプランナーとして、テレビ、ラジオCMの企画、演出をする。91年、独立し、株式会社中谷彰宏事務所を設立。ビジネス書から恋愛エッセイ、小説まで、多岐にわたるジャンルで、数多くのロングセラー、ベストセラーを送り出す。「中谷塾」を主宰し、全国で講演・ワークショップ活動を行っている。

■中谷彰宏公式ホームページ
http://an-web.com/

作品紹介

会話力のある人は、うまくいく。

好調の「うまくいくシリーズ」第6弾。「会話力のない人」は、モテないし、成功しない。話方を変えると、生き方が変わり、仕事も、恋愛も、人間関係もうまくいく。会話力をつけることでチャンスをつかむ、55の方法を紹介する。
定価:本体1,200円+税/学研プラス

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