1つの自分に、絞らなくていい。 複数の自分の分身から、 自分が選べばいい。

中谷彰宏『嫌いな自分は、捨てなくていい。』セレクション

更新日 2020.07.20
公開日 2016.04.07
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 よく、「自分の軸を持ちなさい」と言われます。
 ここで、「軸は1本しかない」という勘違いが起こります。
 人間は、自分の中にいろいろなキャラクターを持っています。
 軸は、1本ではありません。
 いろんな軸がかたまって、1つの束になっています。
「軸は1本」と思うと、最も弱くなります。
 1本の軸では、対応できることが限られるのです。

 軸がたくさんあるのは、人間がいろいろな状況で存在しているからです。
 たとえば、みんなに見せる顔と恋人に見せる顔は違います。
 みんなには、「気の強い女」と思われています。
 彼の前では、「甘える女」です。
 この2つの軸があるから、ポッキリ折れずにすむのです。
 彼の前で強い女を出しても、楽しくありません。
 仕事をしている時に甘える女を出すと、仕事になりません。
 よけいな勘違いをされるだけです。

 軸を使い分ける人は、軸がブレません。
 1本に絞ろうとすると、逆にブレブレになります。
「甘える女」に統一すると、仕事の時に怒られます。
「強い女」に統一すると、彼とはケンカになります。
 ここで、「どちらがいいのか」という迷いが生まれるのです。
 軸は、無限にあります。
 自分は「1人」ではなく、「チーム」です。
 状況に応じて、複数の自分の分身から、自分が選べばいいのです。
 サッカーでは、作戦や状況ごとに最も適した選手を出していきます。
 それと、同じです。
 たとえば、接待では甘える系の自分を出します。
 交渉では、強い系の自分を出します。
「軸が定まらない」と言っている人は、たくさんの自分の軸にリストラをかけようとしているのです。

 

中谷 彰宏 (なかたに あきひろ)

1959年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科卒業。84年、博報堂に入社。CMプランナーとして、テレビ、ラジオCMの企画、演出をする。91年、独立し、株式会社中谷彰宏事務所を設立。ビジネス書から恋愛エッセイ、小説まで、多岐にわたるジャンルで、数多くのロングセラー、ベストセラーを送り出す。「中谷塾」を主宰し、全国で講演・ワークショップ活動を行っている。

■中谷彰宏公式ホームページ
http://an-web.com/

作品紹介

嫌いな自分は、捨てなくていい。
メンタルを強くする67の方法

仕事でも恋愛でも、メンタルが強い人がうまくいく。メンタルは生まれつきではなく、磨くことができる。メンタルを強くする方法。
定価:本体1300円+税/学研プラス

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