うな重のふたは、 同時にあける。

中谷彰宏『チャンスをつかむプレゼン塾』セレクション

更新日 2020.07.20
公開日 2016.10.26
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 たとえば、カップルでうなぎを食べに行きます。
うな重には、ふたがついています。
 お店の人が、「お待たせしました」と言って、丼を置きます。
 女性が先で、男性があとです。
 この時、2人同時にうな重のふたをあける人が、プレゼンでチャンスをつかむ人です。
 ふたは、温度を下げないためにあるのではありません。
 あけた時に、「ワーッ」と感動するためにあるのです。
相手を待たずに、自分のところに来た時にポンとあけてしまう人は、プレゼンでチャンスを逃がす人です。

 フランス料理には丸いふたがついています。
 テーブルに8人いたら、スタッフ全員で横に来て、8人同時にふたをあけます。
 みんなの「ワーッ」を、同時に味わいたいのです。
 江戸時代は、丼にふたがありませんでした。
 明治になると、料理の調理方法が圧倒的に増えました。
 温かい料理が出せるようになったことで、ふたが生まれたのです。
 初期のころのふたは、保温とか出前のためのものでした。
 それがだんだん、あけた時に感動するプレゼンテーションの意味が生まれました。
 カツ丼のふたをあけた時の「ワーッ」感が、プレゼンです。
 丼には、よく見ると、ふたを受けるへこみがあります。
 ふたがなかったころには、そんなへこみはありませんでした。
 ふたを置こうとしても、ストンと落ちてしまいます。
 それぐらい、明治になって丼の形が変わったのです。

 自分だけ先にふたをあける人は、「なに勝手にあけているの」と思われます。
お店の人も、ガッカリです。
 一緒に料理を食べに行っている感が、何もないのです。
 ふたをあけた時の「ワーッ」感を大切にするのが、プレゼンでチャンスをつかむ方法です。
 プレゼンする側がこだわるのは、ふたをあけた時の「ワーッ」をどれだけつくり出せるかということなのです。

 

中谷 彰宏 (なかたに あきひろ)

1959年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科卒業。84年、博報堂に入社。CMプランナーとして、テレビ、ラジオCMの企画、演出をする。91年、独立し、株式会社中谷彰宏事務所を設立。ビジネス書から恋愛エッセイ、小説まで、多岐にわたるジャンルで、数多くのロングセラー、ベストセラーを送り出す。「中谷塾」を主宰し、全国で講演・ワークショップ活動を行っている。

■中谷彰宏公式ホームページ
http://an-web.com/

作品紹介

チャンスをつかむプレゼン塾
心を動かす伝え方63

プレゼンは、チャンスをつかむきっかけ。自分のアイデアをどう提案して、夢を実現していけばいいのか?を紹介する。
定価:本体1300円+税/学研プラス

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