話し手からの質問が、 聞き手を遠ざける。

中谷彰宏『チャンスをつかむプレゼン塾』セレクション

更新日 2020.07.20
公開日 2016.10.05
  • Facebook
  • LINE
  • Pinterest

 プレゼンでチャンスをつかめない人は、質問が好きです。
 聞き手に質問をすることによって、聞き手を巻き込もうという意図があるのです。
 質問は、聞き手を遠ざけます。
 質問をされると、たいていの人はうつむきます。
 話し手が「これ、なんだかわかりますか」と質問すると、聞き手は「なんだろう」ではなく、「当てないで」「当てられたらどうしよう」という気持ちになります。
「あなたはどう思います?」と1人が当てられた時に、ほかの人たちは「ほっとした」ではなく、「次来るかもしれない。あいつ、なんでもいいから答えてくれ」と思います。
 質問の答えについて考えるよりも、「当てないでくれ」「早く誰かが答えてくれ」「先生、早く答えを言って」という感情になります。
 最初に当てられた人が「わかりません」と言うと、話し手は「もうちょっと聞いてやれ」とうれしそうにします。
 2人目に「それでは、あなたはどう思いますか」と振られると、「ヤバい、これ、質問の嵐だぞ」と、みんながどんどん精神的にひいていきます。
 これで、失敗する人が多いのです。

 池上彰さんは「これ、なんだと思います?」と聞きながら、即答えを言います。
 これが、テレビのリズムです。
 テレビを見ている人は、答えを引っ張られるとチャンネルをかえます。
「なんだと思います? 実はこうなんですよ」と、即答えを言うことで、見ている側は「ああ、そうか」と納得します。
「自問自答しているだけで、あなたには当てていませんよ。安心してください」という状態をつくっているのです。

 質問を出したら、即答えを言うことです。
 話のヘタな人ほど、質問が多いです。
 この問題点は、相手がひいていることに気づかないことなのです。

 

中谷 彰宏 (なかたに あきひろ)

1959年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科卒業。84年、博報堂に入社。CMプランナーとして、テレビ、ラジオCMの企画、演出をする。91年、独立し、株式会社中谷彰宏事務所を設立。ビジネス書から恋愛エッセイ、小説まで、多岐にわたるジャンルで、数多くのロングセラー、ベストセラーを送り出す。「中谷塾」を主宰し、全国で講演・ワークショップ活動を行っている。

■中谷彰宏公式ホームページ
http://an-web.com/

作品紹介

チャンスをつかむプレゼン塾
心を動かす伝え方63

プレゼンは、チャンスをつかむきっかけ。自分のアイデアをどう提案して、夢を実現していけばいいのか?を紹介する。
定価:本体1300円+税/学研プラス

バックナンバー

関連コンテンツ

  • Facebook
  • LINE
  • Pinterest

あわせて読みたい