自分を許せない人は、 相手も許せない。

中谷彰宏『怒らない人は、うまくいく。』セレクション

UPDATE 2020.07.20
公開日 2015.05.14

 怒るのは、許せないということです。
「怒る」の反対は、「許す」です。
 人を許せる人は、自分も許せます。
 自分を許せる人は、人も許せます。
 この2種類しかないのです。
「自分は許すけれども人は許せない」というのは自分勝手に思えますが、そんな人はいません。
 自分も人も許せないから、疲れてしまうのです。

 たとえば、飛行機でCAに無視されました。
「オレはいつもそういう人間だ。なんか存在感が薄い」と言って、自分自身を責め始めます。
 責める行為の逆は、工夫して引き出しを増やすことです。
 責めている間は、「しょせんこういう人生なんだ。この間、占い師さんにもそういうふうに言われた」と思って引き出しを増やそうとしません。
 自分を許さないことで「自分はこういうことがダメだ。だから有罪だ」と思うと、怒りが悲しみに変わります。
 悲しみがマックスになって行き詰まった時に、今度は怒りに切りかわります。
 怒りと悲しみを行ったり来たりしてしまう現象は、自分を許せないということです。

 人を許すことは、相手が絡んでいるので半分変えられないものがまじっています。

 自分のことなら、変えられます。
 先に、自分を許せばいいのです。
 自分を許すことは大きく分けると、
 ① 自分の失敗を許す
 ② 自分の幸福を許す
という2つがあります。
 面白いことに、自分の幸福を許せない人がいます。
「好きなことをするのはよくない」と考えるのです。
 あるホスピスのインタビューで、余命3カ月の人に「あれをすればよかったと後悔していることはありませんか」と聞きました。
 一番多かったのは、「もっと好きなことをする自分を許せばよかった」という答えでした。
「もっと好きなことをやればよかった」ではありません。
「好きなことをしてはいけない」と思っている自分がいて、好きなことをしている自分を許せばよかったというのです。
 それぐらい自分を許すことは、根っこの問題です。
 それができれば、あらゆることが許せるようになります。

 自分を許せない人は、まず自分の母親が許せません。
 父親はあまり関係ありません。
 父親の役割は、かなり社会的生活をしてからかかわってくるので、子どもの感情面においてはベースではありません。
 感情形成のベースは、母親との関係性においてつくられます。
 怒っている人は、母親を許せない人が多いのです。
 こういう人は、厳格な家に育っていることが多いです。
 だらしないお母さんの子どもは、「自分が許せない」とはなりません。
 清く正しく美しいお母さんのもとで育つと、自分を許せない人になるのです。
 母親に対しても、「許せない」という憎しみを持ちます。
「お母さんに育ててもらったのに、実際に社会に出てうまくいかないじゃないの」と思うのです。
 社会に出ると、清く正しく美しくだけでは通らないことがたくさんあります。
 清濁あわせ呑むことをしなければいけないということで、折合をつける必要があります。
 白か黒かだけではありません。
 間のグラデーションがたくさんある世界で、清く正しく美しくという理想論だけでは生きていけません。
 社会で生きていくためには、理想論と現実論とをどう組み合わせていくかを考える必要があります。
 理想論だけで来ている人は、怒りまくっています。
 そうすると、最終的には自分を許せないで責め続けるのです。

 

中谷 彰宏 (なかたに あきひろ)

1959年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科卒業。84年、博報堂に入社。CMプランナーとして、テレビ、ラジオCMの企画、演出をする。91年、独立し、株式会社中谷彰宏事務所を設立。ビジネス書から恋愛エッセイ、小説まで、多岐にわたるジャンルで、数多くのロングセラー、ベストセラーを送り出す。「中谷塾」を主宰し、全国で講演・ワークショップ活動を行っている。

■中谷彰宏公式ホームページ
http://an-web.com/

作品紹介

怒らない人は、うまくいく。
品格を高める61の方法

怒らない人は、仕事でも、恋愛でも、人間関係でも、チャンスをつかむ。怒りをコントロールし、品格を高める61の方法を紹介。
定価:本体1300円+税/学研プラス

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