子どもたちの夏休みも折り返しを過ぎ、残りわずかとなりました。森を駆け回り、川で泳ぎ、海に潜り、夏を満喫していた我が子たちも遊んでばかりはいられないようで、夏休みの宿題と格闘中。4年生の長男と1年生の次男はどちらも読書感想文が苦手で、半べそをかきながら取り組んでいます。我が子の苦手は読書感想文ですが、自由研究が苦手、というお子さまもいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は我が家の自由研究に関して、テーマの見つけ方や取り組み方をご紹介したいと思います。
スイカがテーマ! テーマは日々の生活の中から見つけられる
自由研究という名前だけに、研究のテーマは自由です。とはいえ、「なんでもいいから研究するんだよ」というと、何をしたらいいか悩んでしまうお子さまも多いと思います。
長男は悩んだ末、「小玉スイカの育て方」の研究に決めました。理由は、家庭菜園で作っていた小玉スイカが2つとも割れてしまい、虫に食べられてしまったことにあります。一夜にして起こった出来事に一家全員が意気消沈。その数日後に再び花が咲き、スイカが実る気配を感じた長男は「今度こそうまく育てる!」とスイカについて調べることになりました。そして、家族のために調べた結果を教えてくれることになったのです。
こうして、長男の研究は始まり、その研究発表の最初の対象が、私と妻と次男となったのです。しかもこの研究にはちょっとしたご褒美があります。うまく育てば、みんなでおいしくスイカが食べられるからです。
こうしてテーマは決まりました。自由研究のテーマは日々の生活の中にいくつも隠れています。お菓子作りに失敗した経験や、磯遊びで見たこともない生き物を見つけた経験などが研究の原動力になります。お子さまの「くやしかった気持ち」や「楽しかった気持ち」をうまく研究を始めるきっかけにしてあげると良いと思います。
夏休みを存分に楽しみながら研究を
せっかくの夏休みです。宿題だって冒険しなけりゃもったいない! ということで、近所の図書館ではなく、隣の市にある大型図書館までお出かけです。大型の図書館として、子どもたちの間でも話題のスポットだそうです。私は知りませんでしたが…
近所の地区センターや学校の図書館とは比較にならないほどの蔵書を前に、「なんでも調べられる!」と興奮気味の長男。
さまざまなスイカに関する書籍を集め、発表に使いたいところを館内でコピーしました。小玉スイカのことだけではなく、大型のスイカのことに関しても熱心に情報を集めていました。
大型図書館へのお出かけ、というのは今まで経験がありませんでした。並んだ本棚で迷路のようになった図書館は、子どもにとってちょっとした冒険になったようです。インターネットの普及で調べものは昔よりも簡単になりました。時間がないとついつい、インターネットで調べて終わりにしてしまいますが、せっかくの夏休みです。実際に実験をしたり、研究するものを見に行ってみたり、時間を使っていろいろな調べ方をしてみるのも楽しいですよ。
発表のまとめ方
調べものが終わると、次は研究内容をまとめる作業です。まとめ方は本人が図書館にいる間に思いついたらしく、大きな新聞の形式にすることになりました。タイトルは「小玉スイカ新聞」です。大きな模造紙に調べた内容を書いていきます。最初は小さな紙にどんな内容を書くのか決めて、場所の割り振りをしました。
その後、大きな模造紙に書くのですが、いっぺんに仕上げるのではなく、毎日少しずつ作っていきました。
すぐに仕上げてしまわなかったのは、同時に新しく実を結んだ小玉スイカの成長を見守りながら作ったからです。模造紙には単純に図書館で調べたことだけではなく、「かなしい小玉くん」というタイトルの割れてしまった失敗談や、新しく育ってきたスイカの話も書かれています。かなりの力作です。
自由研究は、まとめ方も自由となっている学校が多いと思います。「どんな形式にまとめるか」ということから考えるよりも、「どういった内容を発表したいか」をまず書き出してみてはいかがでしょうか。長男は「たくさんの情報」「絵」「写真」を一度に紹介できる形式として新聞を選んだそうです。
発表したい内容を書き出して整理すると、冊子や実際の種や虫を入れた標本など、発表の形式を決めたり、必要な紙のサイズを決めたりしやすくなります。
自由研究を終えて
さて、そんなこんなで長男の「小玉スイカ新聞」が完成しました。本人もかなり楽しんで、満足したようです。自由研究を通じて知った、子どもとのおすすめの関わり方は、「最高の聞き手になる」ということです。知らなかったことを調べ、形にするという作業は子どもにとっても大変な作業です。そんなときに子どもにとって特に励みになるのが「よく知ってるね」「よく調べたね」という家族の言葉ではないでしょうか。
自由研究を続ける間、最も長男が生き生きとしていたのは、小玉スイカの前で育て方を私たちに教えてくれるときや、食卓を囲みながら、小玉スイカの秘密を話してくれるときでした。育てている小玉スイカに水をやる際は、不要な小蔓のカットや、肥料の追加などを提案してくれました。「よく知ってるね」「よく調べたね」とほめるたびに、いろいろな知識を披露してくれるのです。次男は「お兄ちゃんはほんとに頭がいいよね!」とほめていました。いつの間にか、長男は我が家の立派な研究者であり、小玉スイカ育成の先生になっていたのです。
「家族が喜んでくれるから、もっとたくさん教えてあげたい」その気持ちが大きな模造紙を埋めるまでの原動力になったのです。誰よりも近くにいる家族は、一番最初の発表相手になることができます。家族が関心を持って、子どもの話を聞くことで、「もっと教えたい」「もっと知ってほしい」という気持ちが子どもにわいてきます。それは自然に「もっと知りたい」という気持ちにもつながるのです。
自由研究にお子さまがくじけそうになっていたら、ぜひ最高の聞き手になって、「よく知ってるね」「すごい! もっと教えてほしいな!」と声をかけてあげてください。お子さまが自由研究に取り組むエネルギーになるのではないでしょうか。
さて、我が家の夏の自由研究は以上です。参考になったでしょうか。少しでもテーマの見つけ方やお子さまとの関わり方の参考になれば幸いです。
ちなみに我が家の小玉スイカがどうなったか気になる方のためにご報告。最後の小玉スイカは無事収穫され、写真を撮った後、夕日の沈む海辺で家族のお腹に収まりました。最後まで甘く楽しい自由研究でした。ありがとう小玉スイカ!
ライター ハシモト ナオヤ
10年以上にわたり輸入商社のスタッフとして各国を回りながら、さまざまなコンテンツを制作。ブランドの創業者インタビューや、各国の文化、風土、自身の旅の記録などを記事として配信。標高4,000メートルの山や、熱帯雨林の中にある村など、さまざまな場所でインタビューを敢行。現在は2児の父として子育てに奮闘中。
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※このコラムは、「ガッケン!ハッケン!学研ゼミ 保護者のよみもの ハッケン!みっけ!」に掲載されていたものです。
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