価値には、「所有価値」と「使用価値」とがあります。
所有価値の人は、たとえば、時計なら時計、クルマならクルマをたくさん持つことにこだわります。
お金なら、通帳に残高がたくさんあることが嬉しいのです。
それに対して、使用価値の人は、モノやお金を使うことにこだわります。
この2通りに、分かれるのです。
所有価値の人が最も避けたいのは、持っていたモノやお金がなくなることです。
AランチとBランチで迷うのは、「ここでしくじったら500円の損失になる」と思っているからです。
使用価値の人は、はずれても楽しめます。
「珍しい味のものを食べた」「ここまでまずくできないよね」「これは家の料理だよね」「完全にシロウトでしょう」というものを、その500円で楽しめるのです。
「ワラジカツ」という料理を出す店があります。
面白いので、壁に貼ってある「ワラジカツ」というお品書きを指さして頼んでみました。
所有価値の人は、どんなものかわからないものは、怖くて頼めません。
使用価値の人は、面白がって、話のタネに頼みます。
食べてみると、形ではなく、食感がワラジなのです。
誰かが「ワラジを嚙んでいるみたいだな」と言って、「ワラジカツ」になったのです。
所有価値の人にとっては、ワラジカツが500円だとすると、失敗すると500円のマイナスになります。
そう思うと、チャレンジできません。
何かを失うリスクのあるものは、とにかく選択できないのです。
結局、決断しないで、先送りするという形になります。
これが、「迷う」ということです。
使用価値を見出すことで、迷わなくなるのです。
中谷 彰宏 (なかたに あきひろ)
1959年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科卒業。84年、博報堂に入社。CMプランナーとして、テレビ、ラジオCMの企画、演出をする。91年、独立し、株式会社中谷彰宏事務所を設立。ビジネス書から恋愛エッセイ、小説まで、多岐にわたるジャンルで、数多くのロングセラー、ベストセラーを送り出す。「中谷塾」を主宰し、全国で講演・ワークショップ活動を行っている。
■中谷彰宏公式ホームページ
http://an-web.com/
作品紹介
仕事も、恋愛も、人間関係も、うまくいっている人は、迷わない。ブレない心で、チャンスをつかむ55の方法を紹介する。
定価:本体1300円+税/学研プラス
バックナンバー
- 完璧主義の人は、迷う。
- 楽しいことを体験したことがない人は、迷う。
- 弱点を隠す人は、迷う。
- 逃げる人は、迷う。 逃げるとは、借金を、借金で返すことだ。
- 「自分はどう見られるか」を意識すると、迷う。
- 嫌われないようにしようとすると、迷う。
- 「嬉しい派」の人は、迷う。
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