嫌われないようにしようとすると、迷う。

中谷彰宏『迷わない人は、うまくいく。』セレクション

更新日 2020.07.20
公開日 2016.06.16
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「嬉しい派」が一番避けたいのは、嫌われることです。
 嫌われることを、一番恐れているのです。
 ランチを選ぶこと、結婚を決めること、会社を選ぶこと、独立を選ぶことまで、すべてのことが「どうしたら嫌われないか」という判断基準で動いています。
 カラオケの曲も、なかなか決められないのです。
「楽しい派」は、自分の好きな歌、自分の得意な歌を選びます。
「嬉しい派」は、上司の持ち歌を選ばないように気をつけます。
 上司の持ち歌はわかるから、まだいいのです。
 お得意先の持ち歌は、わかりません。
 いつも、「これをしたら嫌われないか」と恐れているのです。

 嫌われないようにしようとすると、何も選べなくなります。

 ここで1つの疑問が出てきます。
「嬉しいこと」かつ「楽しいこと」という選択肢はないのかということです。
 その選択肢は、ありません。
 かつて自分の人生において、1度だけそれがありました。
 赤ちゃんの時は、自分とママだけが世界のすべてでした。
「自分がする楽しいこと」イコール「ママの嬉しいこと」です。
 やがて学校に上がって友達ができると、ママ以外の人と一緒にする楽しいことに目覚め始めます。
 たとえば、僕は子どもの時、絵を描くのが好きでした。
 一緒に絵を描く、友達もできました。
 これは、母親にとって裏切り行為です。
 子どもが、ママ以外の楽しいものを見つけたのです。
 いわば、浮気です。
 母親は、「そんなことをしているヒマがあったら、ママは漢字の1個でも覚えてほしい」と怒ります。
 子どもは、「絵を描く」という楽しい行為に罪悪感を持つようになります。
 大切な人を、裏切る行為になるからです。
 この瞬間に、「楽しいこと」という選択肢を隠し始めるのです。
 楽しいことを自分の内面に隠し続けることで、人間は成長していきます。
 親の前では漢字の練習をしているふりをして、親がいないところで、机の下に隠して絵を描いているのです。
 これが、人間の成長です。
 内面性が、生まれるのです。
 外面と内面とが一致している人は、まだ内面を持っていない人です。
 人間的に、成長していないのです。
 親は親で、喜ばせておきます。
 一方で、親の知らないところで、自分が好きなことをすればいいのです。
 やがて、親を喜ばすのか、自分の人生を生きるのかという選択肢に突き当たります。
「自分の人生だから、好きなほうを選ばせてもらう」と言った瞬間が、自立です。
 親にずっと甘えて生きている人は、永遠に親が喜ぶほうを選びます。
 親に嫌われたら、生きていけないのです。
 赤ちゃんと、同じです。
 嫌われることを恐れる人は、体は大人なのに、意識が赤ちゃんのままなのです。

 人間は、誰でも愛されたいと思っています。
「嫌われない」イコール「愛される」ではありません。
「どうしたら嫌われないか」を考える人は、どこまで行っても愛されません。
 むしろ嫌われないようにしている行為が、相手に嫌われるのです。

 

中谷 彰宏 (なかたに あきひろ)

1959年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科卒業。84年、博報堂に入社。CMプランナーとして、テレビ、ラジオCMの企画、演出をする。91年、独立し、株式会社中谷彰宏事務所を設立。ビジネス書から恋愛エッセイ、小説まで、多岐にわたるジャンルで、数多くのロングセラー、ベストセラーを送り出す。「中谷塾」を主宰し、全国で講演・ワークショップ活動を行っている。

■中谷彰宏公式ホームページ
http://an-web.com/

作品紹介

迷わない人は、うまくいく。
ブレなくなる61の方法

仕事も、恋愛も、人間関係も、うまくいっている人は、迷わない。ブレない心で、チャンスをつかむ55の方法を紹介する。
定価:本体1300円+税/学研プラス

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