まじめな人は、残業代のためではなく、頑張って残業しているつもりです。
　実は、それは頑張っていることにならないのです。
　その時間に、家へ帰って勉強すべきことをしていないからです。
　残業は、未来への投資をサボっているのです。
　残業手当は、未来の自分から前借りしているだけなので、生涯所得は減っていきます。
　余分に稼いでいることにはなりません。

　一番よくないことは、残業によって、仕事をしている気分に浸ることです。
　残業で仕事をしている気分に浸っている人は、反省や向上がなく、明日にもつながりません。
　残業をすればするほど、未来の自分は下り坂になるということに気づく必要があります。
　会社に損を与えるだけでなく、自分自身に損を与えるのです。
　２時間早く帰れる人と帰れない自分との差を、突き詰めて考えてみることです。
　一番のマイナスは、「オレはあいつより２時間頑張っている」という気持ちになることです。
　これによって、長い人生の中でずっと遅れていくことになるのです。

（※「『なぜ あの人は２時間早く帰れるのか』セレクション」は、今回で最終回となります。ご愛読ありがとうございました。中谷彰宏さんの次の連載をお楽しみに！！）

中谷　彰宏 (なかたに あきひろ)