ヘボン式と訓令式? ローマ字の混乱しない学び方とは

小学生の学び・子育て

公開日 2018.10.19
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レンポジ

 2020年度の改訂学習指導要領の全面実施でなんと言っても変わるのは英語(外国語)。小学校5・6年生からは「教科化」され、成績にも反映されるようになります。2018年から「新学習指導要領」への移行措置もスタートし、本格的に英語学習を始めなければ……とお考えの保護者さまも多いのではないでしょうか。しかし、なんでも楽しんで覚えたほうが定着率はいいもの。気負わずに、まずはローマ字から親しんでみましょう。

ちょっとおさらい! ローマ字とアルファベットの違い

 アルファベットは、英語版の「あいうえお」のようなもの。26文字で構成されています。

 対してローマ字は、日本語の発音にアルファベットでよみがなをふったようなものです。

レンポジ

 元々、ローマ字は外国の方でも日本語をわかりやすく記すために考えられたもの。なにしろ、日本語にはひらがな・カタカナ・漢字……と覚えることが満載。日本語を学ぶ外国の方にとっては、ローマ字は救世主であることは間違いないでしょう。

お茶は“ocha”か“otya”か、それが問題。

ヘボン式 vs. 訓令式

 小学生のお子さまが、ローマ字を習うときに立ちはだかる大きな壁。それがヘボン式と訓令式の違いです。

 パスポートや駅名などはヘボン式で書かれているので、保護者さまはヘボン式のほうが馴染み深いかと思います。しかし、小学校で習うのは訓令式。訓令式がローマ字表記法としては唯一の国際規格のため、教育現場などでは基本的に訓令式が使われるのです。

 学習していると混乱してしまうこともあるので、お子さまと一緒に教科書を見ながらルールを再確認! 保護者さまも改めて訓令式を勉強してみましょう。

 訓令式とヘボン式の主な違いは下の表のようなものです。

レンポジ

 たとえば、「お茶」は“ocha”ではなく、“otya”なのです。

「おてゃって読める! なんだか気持ち悪い……! ヘボン式のほうがいいのに!」というお気持ちも、ごもっともです。

ヘボン式は英語圏向けのもの

 実は、ヘボン式はアメリカ人宣教師のヘボンさんがつくったもの。だから、ヘボン式の綴りは英語風。それまでのローマ字だと英語圏の方たちは読みにくかったので、ヘボン式をつくったのです。英語圏の方に読みやすい表記法ですが、非ネイティブ・スピーカーからすると戸惑うことも。

 例えば、
“cha”と表記すると、「シャ(フランス人)」とか「カ(スペイン人)」とか読む人が出てくるので、「お茶ください」が「おしゃください」「おかください」と、日本人にとっては意味不明な音声になることもあります。

 訓令式の場合は、「ああ、ローマ字なのね! ローマ字っぽく読めばいいのね!」と納得してくれるので、日本人に通じやすい音声になります。それでも「お茶」ではなく「おてゃ」みたいに聞こえてかわいい感じですが…。

「でも、英語は共通語だし、ヘボン式でいいんじゃないかしら……」ともう方もいるかもしれませんね。しかし、世界の人口約70億人のうち、英語を話す人は約15~17.5億人。そして、英語のネイティブ・スピーカーは、たったの3.9億人なのです。そう考えると、ローマ式を採用した訓令式のほうが全人類に優しい気がしてきますね。

こうやって実践しよう! ローマ字の覚え方

レンポジ

 これからローマ字を覚えるお子さまには、ひらがなの50音とローマ字がセットになっている下敷きやポスターがおすすめ。カラフルで楽しいものが多く、生活に取り入れやすいです。

 すでにパソコンやスマートフォンに慣れているお子さまなら、入力方法をローマ字入力にしてあげるだけでいつの間にか覚えてしまうかもしれません。

 学校では基本的に小学3年生でローマ字を習いますが、授業で扱う時間はほんのわずか。それだけで完全に覚えるのは難しいので、保護者さまのフォローが必要です。普段使っている商品のメーカー名や商品名でローマ字を見つけたら、一緒に読んでみましょう。なお、想像以上にヘボン式だらけですので、そこは保護者さまが上手に取捨選択を!

 また、家の中にある物の名前をローマ字で書いて貼る(たとえば、りんごジャムの瓶に“Ringo”と書いてみる)というのも試してみてください。親子で楽しみながら取り組むと、あっという間に覚えてしまいますよ。

今回の『保護者さまのお勉強』

 日常で目にする案内板や道路標識はヘボン式ばかりなので、ついヘボン式で説明してしまいそうになりますが、同時に2つの書き方を覚えさせるとお子さまが混乱してしまいます。お子さまが迷ったときに説明できるよう、保護者さまも訓令式をしっかり覚えておきましょう。

 

Ganbatte!

 

ライター Jade T.
 砂漠に13年、芸術の都に4年。通算17年の海外生活を経て、終の棲家を日本に。コピーライターをしつつ、英語講師としても精力的に活動中。「まずは母国語である日本語をきちんと話せないと英語は伸びない」がモットーです。

※このコラムは、「ガッケン!ハッケン!学研ゼミ 保護者のよみもの ハッケン!みっけ!」に掲載されていたものです。

 

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