子どもに本を好きになってもらいたい、読書の習慣をつけてもらいたいと考える保護者の方も多いのではないでしょうか。それには、幼い頃からの絵本の読み聞かせが効果的です。学力の向上だけでなく、親子の絆を深めるのにも役立ちます。読み聞かせの効果とちょっとしたコツを知って、ぜひ親子で本と触れ合う機会を作りましょう。
絵本の読み聞かせが子どもの語彙力を伸ばす
「子どもには、たくさんの絵本に触れさせてあげたい」
そう考える保護者の方は多いでしょう。実際に「絵本の読み聞かせが子どもの成長に良い」ことは、科学的にも実証されています。
お茶の水女子大学名誉教授・内田伸子氏の研究によると、保護者による読み聞かせは、子どもの語彙力を伸ばすのに役立つことがわかりました。さらに幼い頃に身に付けた語彙力は、子どもが大きくなってからも、知識としてしっかりストックされているのだそうです。
絵本の読み聞かせが語彙力を高めるのに有効だとわかる、実際のエピソードをご紹介します。
私の子どもがまだ小さかった頃のことです。あるとき、子どもが自分から絵本を読み始め、一冊すらすらと読みきったことがありました。当時、子どもはまだ字が読めませんでした。いつも耳から聞いていた音と、絵本に描かれたイラストをもとに、言葉を発していたのでしょう。
絵本の読み聞かせをおこなっても、小さな子どもの場合はあまり反応がありません。どれほどの意味があるのだろうと、疑問に思ったこともありましたが、言葉かけやお話を聞かせたら聞かせただけきちんと子どもには届いているのだなと感じた瞬間でした。
子どもが読書を好きになる、読み聞かせのコツ
親子の絵本タイムは、子どもにとっても親にとっても特別なひととき。できることなら、その経験が将来の読書好きにつながってくれたら…という期待もあります。それには、ただ絵本を読み聞かせるだけでは少し足りません。ちょっとしたコツがあるのです。
それは「絵本を通して、親子で楽しい時間を共有すること」。とてもシンプルですよね。
たとえば親から「本を読みなさい!」と強制されたら、子どもはどう思うでしょうか。イヤイヤ読み始めるかもしれないし、ムキになって本から遠ざかってしまうかもしれません。
いずれにしても、強制してやらせたところで子どものためにはならないし、読書好きになることもないでしょう。
これは子どもに限らず、大人だって同じです。できる限り読書の時間を「楽しい」と感じられるようにすることが重要です。
そう聞くと、「おもしろい読み聞かせって、絵本の登場人物になりきってオーバーな感情表現をしたり、身振り手振りを交えたりしなければならないの?」と思われるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。
実際に読むときは多少の抑揚をつける程度で、あとは淡々と読み進めてもかまいません。その方が、子どもがストーリーに集中できるとさえ言われています。
ポイントは読んだ後の振り返りの時間をしっかりと取ること。読書後の、「ここがおもしろかった。」「また読もうね。」そんなコミュニケーションが子どもに安らぎを与えます。読み聞かせの後に、あんなことを話そう、こんなことを話そう、そんなふうに思える読書の時間は、子どもにとって「楽しい」時間です。内容を無理に理解させる必要はありません。一緒に疑問について考えたり、発見を楽しんだりする姿勢を持つことが、子どもを読書好きに変えるためのコツなのです。
学研図書ライブラリーからおすすめの絵本をご紹介
学研図書ライブラリーでは、子どもの興味・関心を引き出し、知的好奇心を育む本を多数配信しています。その中の人気シリーズである「10分で読める本」は、読書の時間を取れない子どもや、あまり本を読む習慣のない子どもにも読みやすいのが特徴です。
・なぜ? どうして? 動物のお話
イヌやネコ、キリンやカエルなど、実際に目にする機会のある動物についての発見や驚きが詰まった本。大人でも「そうだったんだ!」と目からウロコが落ちるページがあり、親子で一緒に楽しめます。
・なぜ? どうして? みぢかなぎもん1年生
子どもは好奇心でいっぱい。たくさんの「なぜ? どうして?」を持っています。「みぢかなぎもん」シリーズでは、そんな子ども達のさまざまな疑問に答えてくれるので、知的好奇心が満たされること間違いなしです。
「お母さん、知ってた? あのね…」なんて、新たな会話のきっかけにもなるかもしれませんよ。
子どものペースに合わせた読書をしましょう
絵本の読み聞かせは、子どもが言葉を覚えるきっかけになったり、語彙力を伸ばしたりするだけではなく、親子の絆を深めるうえでも大きな効果を発揮します。親子で一緒に楽しむことで、新しい会話の糸口が見つかることもあります。
絵本の読み聞かせで読書習慣をつけるときに気を付けたいのは、無理をせず「子どものペースに合わせる」ということです。子どもが読みたい本、読んでもらいたい本を選び、「本はおもしろい、読書は楽しい」と感じられるようにコミュニケーションをしっかりと取りましょう。そうすれば、自然と本と触れ合う時間が増えていくはずですよ。
ライター:七尾 なお
生活コラムから経済誌まで、ウェブや雑誌を問わずさまざまな媒体で執筆をするフリーライター。男の子と女の子の二児の母。父親向けのコラム執筆や、育児に奮闘する母親や父親向けの情報サイトの運営など、教育関連の執筆にも力を入れている。
※このコラムは、「ガッケン!ハッケン!学研ゼミ 保護者のよみもの ハッケン!みっけ!」に掲載されていたものです。
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