予定表より、 工程表をつくる。

中谷彰宏『なぜ あの人は2時間早く帰れるのか』セレクション

更新日 2020.07.20
公開日 2017.03.02
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 予定表は、誰もが持っています。
 予定表より大切なのが、工程表です。
 手帳に予定を書くだけだと、遅れた時にストレスが生まれます。
「遅れている」というストレスが、さらに遅れを生み出します。
 ストレスが、エネルギーを一番消耗するのです。
 そういう人に限って、締切がいつかと聞くと「なる早で」と言います。
「なる早で」とか「大至急」という言葉が、仕事の遅い人を生み出すのです。

 工程表は、全体の締切の割振りです。
 たとえば、200ページの本を50日で書くとしたら、1日あたり4ページです。
 工程表で考える人は、今日4ページ書いたらプラマイゼロです。
 予定表で考える人は、「まだ196ページある」というストレスがかかります。
 どれぐらい遅れているか見えないので、際限なく遅れているように感じます。
 工程表で考える人は、今日が3ページなら「マイナス1ページ」ととらえて、明日頑張って5ページ書いて取り返すことができるのです。
 マラソンランナーも、これをしています。
 アマチュアのマラソンランナーは、5キロ走ると「まだ37キロも走らなければいけないのか」と思います。
 プロのランナーは、「あと何キロ」という感覚はありません。
「1キロ何分」というペースを、ずっとはかりながら走っているのです。

「本を書きたいのですが、なかなか書けないんです」と言う人がいます。
 その人は、1日50ページ書いて4日で完成させるという計画を立てました。
 最初から、ムリな話です。
 まずは、頑張らなくてもできる工程表をつくります。
 ダイエットの計画と同じです。
 頑張ってしなければいけない計画は、しょせん続きません。
 その結果、挫折して、ストレスのみが残るのです。

 上司から、ムリな分量の仕事を与えられたら、どうするか。
 「ムリです」と言って、減らしてもらったら、仕事もチャンスもなくなります。
 工程表をつくって、仕事を小分けすることで、工夫が見つかりやすくなります。
 小分けすることで、どこがどう難しいのかを、上司も見える化できるのです。

(※この連載は、毎週木曜日・全8回掲載予定です。5回目の次回は、3月9日掲載予定です。)

 

中谷 彰宏 (なかたに あきひろ)

1959年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科卒業。84年、博報堂に入社。CMプランナーとして、テレビ、ラジオCMの企画、演出をする。91年、独立し、株式会社中谷彰宏事務所を設立。ビジネス書から恋愛エッセイ、小説まで、多岐にわたるジャンルで、数多くのロングセラー、ベストセラーを送り出す。「中谷塾」を主宰し、全国で講演・ワークショップ活動を行っている。

■中谷彰宏公式ホームページ
http://an-web.com/

作品紹介

なぜ あの人は2時間早く帰れるのか

向上心のある大人の女性に向けて、年齢を重ねても魅力的の「美人力」を提案。人気の書籍をハンディ版として新装発売。
定価:本体1300円+税/学研プラス

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