予定表は、誰もが持っています。
予定表より大切なのが、工程表です。
手帳に予定を書くだけだと、遅れた時にストレスが生まれます。
「遅れている」というストレスが、さらに遅れを生み出します。
ストレスが、エネルギーを一番消耗するのです。
そういう人に限って、締切がいつかと聞くと「なる早で」と言います。
「なる早で」とか「大至急」という言葉が、仕事の遅い人を生み出すのです。
工程表は、全体の締切の割振りです。
たとえば、200ページの本を50日で書くとしたら、1日あたり4ページです。
工程表で考える人は、今日4ページ書いたらプラマイゼロです。
予定表で考える人は、「まだ196ページある」というストレスがかかります。
どれぐらい遅れているか見えないので、際限なく遅れているように感じます。
工程表で考える人は、今日が3ページなら「マイナス1ページ」ととらえて、明日頑張って5ページ書いて取り返すことができるのです。
マラソンランナーも、これをしています。
アマチュアのマラソンランナーは、5キロ走ると「まだ37キロも走らなければいけないのか」と思います。
プロのランナーは、「あと何キロ」という感覚はありません。
「1キロ何分」というペースを、ずっとはかりながら走っているのです。
「本を書きたいのですが、なかなか書けないんです」と言う人がいます。
その人は、1日50ページ書いて4日で完成させるという計画を立てました。
最初から、ムリな話です。
まずは、頑張らなくてもできる工程表をつくります。
ダイエットの計画と同じです。
頑張ってしなければいけない計画は、しょせん続きません。
その結果、挫折して、ストレスのみが残るのです。
上司から、ムリな分量の仕事を与えられたら、どうするか。
「ムリです」と言って、減らしてもらったら、仕事もチャンスもなくなります。
工程表をつくって、仕事を小分けすることで、工夫が見つかりやすくなります。
小分けすることで、どこがどう難しいのかを、上司も見える化できるのです。
(※この連載は、毎週木曜日・全8回掲載予定です。5回目の次回は、3月9日掲載予定です。)
中谷 彰宏 (なかたに あきひろ)
1959年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科卒業。84年、博報堂に入社。CMプランナーとして、テレビ、ラジオCMの企画、演出をする。91年、独立し、株式会社中谷彰宏事務所を設立。ビジネス書から恋愛エッセイ、小説まで、多岐にわたるジャンルで、数多くのロングセラー、ベストセラーを送り出す。「中谷塾」を主宰し、全国で講演・ワークショップ活動を行っている。
■中谷彰宏公式ホームページ
http://an-web.com/
作品紹介
向上心のある大人の女性に向けて、年齢を重ねても魅力的の「美人力」を提案。人気の書籍をハンディ版として新装発売。
定価:本体1300円+税/学研プラス
バックナンバー
- 残業は、 未来への投資をサボっている。
- 基本をおろそかにすると、 遅くなる。
- 失敗のスピードの速い人が、 成功のスピードも速い。
- 粘るとは、サッと引いて、 また行くことだ。
- 勝負は、土・日でつく。
- 諦めて、減らさない。
- 仕事に追いかけられるとあせり、 仕事を追いかけると素早くなる。
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