その人の魅力は、どれだけの物語を持っているかで決まります。
　物語とは、自分自身の体験です。
　魅力的な人に会うと、必ず「こんなことがあって」という話をします。
　色気のない人は、理論で話します。
　オヤジだけではなく、オバチャンも主義主張で話すのが好きです。
　主義主張は、聞いていてセクシーではありません。
「こうすべきじゃないの」という話よりも、「こんなことがあって」という話のほうが面白いです。
　数字で会話をするタイプも、聞いていて何かワクワクしません。
　
　物語をたくさん持つためには、生の体験が必要です。
　情報化社会は、また聞きの話が多いのです。
　また聞きの話には、生の物語性がありません。
　たとえば、「北海道で、こんなことがありまして」という話になって、「ヘェー、面白いね。それは北海道のどこですか。札幌ですか。函館ですか」と聞かれました。
　ここで「いや、それは知らない」と言った時点で、ネットで調べた話だったことがバレてしまいます。
　実際に生で体験した話は、何を聞かれても答えられます。
　ここが、色気のある人と色気のない人との分かれ目になるのです。

（※この連載は、毎週木曜日・全8回掲載予定です。5回目の次回は、7/6掲載予定です。）

中谷　彰宏 (なかたに あきひろ)