「さらけ出す」とは、知識を並べ立てることではありません。
　気持ちを、出すことです。
「この絵をどう思う？」と聞かれて、「怖い」と言うのは、気持ちをさらけ出しています。
　色気のない人は、ここで「これは１９世紀の作品なんですよね」と言います。
「ハウ・ドゥ・ユー・フィール？」と聞いているのに、時代とか作者とか、データで押してくるのです。
　そういうタイプは、おいしい料理を食べても、自分の感情を言いません。
「感情を出して、ダメだと言われたらどうしよう」と心配しているからです。

　データには正解がありますが、感情には正解がありません。
　小学校の優等生は、いつも正解を探しています。
「正解はない」と言われても、納得がいきません。
　自分の感情を出すことに、恐怖心を持たないことが大切です。
　セクシーとは、さらけ出すことです。
　肌を出すのでもなく、知識を出すのでもなく、気持ちをさらけ出すことがセクシーなのです。

（※この連載は、毎週木曜日・全8回掲載予定です。4回目の次回は、6/29掲載予定です。）

中谷　彰宏 (なかたに あきひろ)