「嬉しい派」の人が楽しいほうを選ばない理由は、「楽しい」を体験したことがないからです。
「楽しい」を体験した人は、「嬉しい派」には戻れません。
これを言うと、必ず反論されます。
「そんなことはありません。私だって楽しいことはいっぱい体験しています」と言うのです。
この人は、「楽しい」という言葉の辞書的な意味は知っています。
自分でも、「楽しい」をわかっているつもりです。
実際は、「楽しい」の感覚がわかっていないのです。
食べたことのない料理の味がわからないのと、同じです。
「楽しい」を体験している人にとっては、「楽しい」を選ばないことは理解できないことです。
たとえば、桃を食べたことのある人は、桃の味を想像できます。
食べたことのない人は、桃の味が想像できません。
情報化社会では、桃は、こんなふうに甘くて、ジューシーでおいしいというのを頭で理解して、桃の味が大体わかったような気になります。
海外旅行に行ったことのない人は、感覚としてはわからないのに、知識としてその現地のことがわかった気になるのです。
これが、情報化社会の怖いところです。
楽しいことをしたほうがいいと言っても、いきなりはできません。
まずは、楽しい体験をした人と接することです。
ほとんどの人が、「楽しい」という言葉の意味は知っています。
それでも、楽しい体験をしたことがある人とない人とで、くっきり分かれます。
「おいしい」がわからない人は、「おいしい」という体験をしたことがないのです。
1度でも「おいしい」という体験をした人は、おいしいほうを選びます。
おいしいほうを切り捨てるのは、「おいしい」という体験をしたことがないからです。
体験をしたことがない人は、どちらのメニューが嫌われないかを基準に選ぶから、迷います。
「気持ちいい」も、「フィーリンググッド」だということは知っています。
ところが、「これが気持ちいいんだな」という感覚は、体験しないとわかりません。
永遠にわかったふりをして、迷います。
「楽しい」「おいしい」「気持ちいい」がわからないヘンな人と思われたくないから、わかったふりをして迷うのです。
中谷 彰宏 (なかたに あきひろ)
1959年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科卒業。84年、博報堂に入社。CMプランナーとして、テレビ、ラジオCMの企画、演出をする。91年、独立し、株式会社中谷彰宏事務所を設立。ビジネス書から恋愛エッセイ、小説まで、多岐にわたるジャンルで、数多くのロングセラー、ベストセラーを送り出す。「中谷塾」を主宰し、全国で講演・ワークショップ活動を行っている。
■中谷彰宏公式ホームページ
http://an-web.com/
作品紹介
仕事も、恋愛も、人間関係も、うまくいっている人は、迷わない。ブレない心で、チャンスをつかむ55の方法を紹介する。
定価:本体1300円+税/学研プラス
バックナンバー
- 完璧主義の人は、迷う。
- 所有にこだわる人は、迷う。
- 弱点を隠す人は、迷う。
- 逃げる人は、迷う。 逃げるとは、借金を、借金で返すことだ。
- 「自分はどう見られるか」を意識すると、迷う。
- 嫌われないようにしようとすると、迷う。
- 「嬉しい派」の人は、迷う。
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