夏休みが始まって、お子さまの自由研究が気になっている保護者さまも多いのではないでしょうか。自由研究を通じて発見の喜びや達成感を味わってほしい…とは思うものの、小学生が“自由”に“研究”に取り組むのは、かなり難しいこと。「テーマが決まらない」「何をしたらいいかわからない」など、最初の一歩でつまずいて自由研究にネガティブな印象を持ってしまうのはもったいないことですよね。
せっかく自由研究に取り組むなら、苦手意識を持つより、ワクワクしてほしい! 子どもの好奇心や探究心を刺激する“自由研究の進め方”を考えてみましょう。
「自由研究のために考える」ではなく素朴なギモンをきっかけに
他の宿題は進んでいるのに、自由研究はなかなか手を付けたがらないお子さまは少なくありません。夏休み後半になって苦労するのは目に見えているので、つい「もう決めたの?」「早くやらないと!」とせっつきたくなってしまいますよね。
ところが子どもは、急かされることが大嫌い。自由研究に限らず、勉強でもお手伝いでも“やるべきこと”を押し付けられると、つい反発したくなるようです。
もともと子どもは好奇心の塊。日常の中で、「これって何?」「なんで?どうして?」と興味を示す事柄はたくさんありますよね。自由研究のためにわざわざテーマを探さなくても、身近にある好奇心の対象を自由研究のテーマにすれば、「やらなくては」「考えなくては」というプレッシャーを感じずに済みそうです。自由研究の呪縛(?)にとらわれすぎると、研究したくなるテーマがかえって見えなくなってしまうのかもしれません。
たとえばわが家では先日、砂抜きしているアサリがだら~んと水管を伸ばしている様子を見て、小3の娘が「アサリって飼えるのかな…」とポツリ。「いやいや、飼わないよ。食べるよ」と味噌汁にしてしまいましたが、いま思えば自由研究のテーマにちょうどよかったかも。「お母さんも気になる! 試しに飼ってみようか」と盛り上げたら、娘もきっとその気になったでしょう。
またあるときは、小5の息子がキウイの種をほじくってお皿の縁に並べて、「これ植えたら芽が出る?」と聞いてきたことがありました。対する母(私)は、「遊んでないでちゃんと食べなさい!」と塩対応。自由研究どころか、子どもの好奇心の芽を摘みまくっていますね…。(反省)
自由研究のテーマ探しに困っている保護者さまは、このような素朴なギモンを聞き逃さず、「そういえばなんでだろうね?」「どうなるのか試してみたら?」などとポジティブな声かけをしてみてはいかがでしょうか。子どもの“知りたいキモチ”を盛り上げることができれば、ワクワクしながら自由研究をスタートできると思います。
子どもの興味の幅を広げるならネット検索やワークショップも
自由研究になりそうな「ギモン」や「気になること」がなかなか見つからない場合は、たくさんのネタの中から子どもに選ばせる…という方法もアリだと思います。
いちばん手軽な方法は、インターネットで自由研究にオススメのテーマを紹介するサイトを見ること。
たとえば、「夏休み!自由研究プロジェクト2018」(学研キッズネット)では、小学生が気軽にチャレンジできる実験や工作などがズラリ。
「え!? こんなことが家でできちゃうの?」と大人もビックリのアイデアが満載です。わが家の子どもたちに見せたところ、「100円ショップ商品で自由研究」のコーナーに目が釘付け。ついさっきまでの自由研究ブルーはどこへやら、「これやってみたい!」「こっちも面白そう」と興味津々でした。
また、夏休みにはいろいろな場所で自由研究のワークショップが行われています。インターネットで「自由研究 ワークショップ」と検索すると、出てくる出てくる…。プログラムも、機械工作、科学実験、天体観察、歴史探索、施設見学、クラフト制作、お料理などなど驚くほど種類が豊富です。専門家にイチから教えてもらえるのも助かりますよね。
「なにもかも用意された至れり尽くせりの自由研究なんて…」と思う保護者さまもいるかもしれませんが、入り口はどうあれ、「知りたい」「やってみたい」と思うことに出会って楽しく取り組むことができれば、自由研究の目的は十分に達成しているのではないでしょうか。自由研究に対して苦手意識を持っている子ほど、テーマを決める段階からワクワクするシチュエーションをつくって、「面白そう!」と思ってもらうことが必要なのではないかと思います。
実際、わが家の子どもたちは、インターネットで自由研究のサイトやワークショップの情報を見ているだけで、目をキラキラさせています。特に工作や実験などのカラフルな画像は意欲を刺激するらしく、「これは家にある材料を使えるね」「ビーズで飾ったらキレイかも」などと自分で取り組むイメージも膨らんできている様子。自分では思いつかなかったようなことをテーマに選んで、興味の幅が広がってくれたらいいなと思います。
自由研究は「クオリティ」より「楽しかった!」を大切に
めでたくテーマが決まったあとも、保護者のやきもきは続きます。調べ方の効率が悪かったり、計画の立て方が甘かったり…。とても見ていられず「それじゃダメだよ」「こうやったほうがいいよ!」などつい口を挟んでしまうという方も多いのではないでしょうか。
気になることを挙げたらきりがありませんが、保護者が介入しすぎると、自由研究そのものがつまらないものになってしまう可能性もあります。大人はどうしても理性で考えてしまうので、「こうあるべき」に縛られがち。間違いを指摘したり、正しい進め方を押し付けたりすると、せっかくのオリジナリティや面白みが消えてしまいます。結果的に、本やインターネットの情報をそのまま書き写したような、生真面目なレポートになってしまいやすいのです。
自由研究の面白さは、子どもが自由に想像を広げて興味の対象をとことん追究できること。紆余曲折も失敗も経験のうち。そこから学ぶこと、考えることもきっとあるに違いありません。大人から見たらバカバカしく思えるときも、どう見ても迷走しているようなときも、口を挟まずにぐっと我慢。だまって見守るのも、大事なサポートなのではないでしょうか。
小学校の先生によると、内容がハチャメチャでも、子どもが楽しんで作り上げたレポートはイキイキとしていて、見ているほうも楽しくなってくるのだとか。反対に、どこにも破綻がなくきれいにまとめただけのレポートは、子どもの気持ちが伝わってこず、「保護者が手伝ったのだな」とすぐにわかるそうですよ。完璧さより、楽しさを優先したほうが、いい自由研究になりそうですね!
毎年お子さまと一緒に、自由研究問題で頭を抱えていた保護者さまも、今年は見守り中心のサポートにシフトしてみてはいかがでしょう。「それ、いいね!」「お母さんは気づかなかったよ! さすが!!」など、応援と盛り上げのメッセージは少し大げさに。否定的な言葉は封印して、お子さまがどんな研究成果を得るのか、楽しみに待ってみてはいかがでしょう。
ライター:大原 三千江
WEB媒体を中心に執筆を続けるフリーライター。男の子と女の子、2人の小学生の母。子育てや教育に関する取材やインタビューの実績が多く、役得とばかりにわが子にいろいろ実践している。
※このコラムは、「ガッケン!ハッケン!学研ゼミ 保護者のよみもの ハッケン!みっけ!」に掲載されていたものです。
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