小学校高学年になるに従って、算数に苦手意識を持つ子どもが増えます。掛け算や割り算といった計算問題、図形や文章問題など、内容が難しくなることが原因になっているようです。そうならないよう、小学校低学年のうちから、お子さまと一緒に取り組める勉強方法をご紹介します。
ドリルもいいけど、まずは数字に慣れるところから
算数の勉強と聞くと、どんなものを想像しますか? 計算ドリルや、暗算カードといったものが一般的でしょうか。もちろん、計算ドリルを使った勉強もいいのですが、ドリルなどの問題を与えるばかりが、算数の勉強ではありません。
数字や計算に強くなるためのきっかけは、実は日常生活の中にたくさん溢れています。たとえば、買い物に使うスーパーのチラシ。これを親子で一緒に見てみましょう。
チラシには、たくさんの数字(価格)が書かれていますよね。「3個入りのプリンが240円だね。1個の値段っていくらだろう」「カレーライスを作る材料を買うのに合計でいくらになる?」など、ゲーム感覚で数字と触れ合うことができますよ。
また、実際にスーパーに買い物に行って、同じような声がけをするのもいいですね。「遠足のおやつは300円まで。どれを買おうか?」そんなふうに聞いてみるのはいかがでしょうか。限られた予算の中で、いかに多く、好きなおやつを買うか。子どもは頭をひねって考えます。こうしたちょっとした工夫で、数字に強くなるきっかけ作りができるのです。
メジャーやものさしを使って、長さを測ってみるのもおもしろいですよ。家具の高さを測って、「お母さんとどっちが大きいかな?」テーブルの長さを測って「このサイズのマットが何枚置けるかな?」など、クイズ形式で問題を出していけば、子どもは喜んで考えるはずです。
一見すると、こういったことは算数の勉強には直結しないように思えるかもしれません。しかし、小学校低学年の子どもに大切なのは「数字の感覚を持つこと」と「計算することに興味を持たせること」です。
繰り返し解くことで、計算力を鍛えられる
算数に必要なのは、「理解すること」だと思っている方が多いかもしれません。確かに、与えられた問題の意味を理解し、そのうえで解答を導き出すこと。これは、算数には不可欠です。しかしそれだけでなく「計算力」も必要になります。
たとえば速く走るためには、美しいフォーム以外に十分な筋肉も必要です。完璧なフォームを理解していたって、日々のトレーニングを怠っていたら速く走ることはできません。
それと同様に、いくら公式を頭で理解していたところで、計算力が身についていなければ誤った答えを出してしまうことになります。計算力を身につけるには、とにかく問題を繰り返し解くことが一番です。筋肉をつけるには毎日のトレーニングが大事なのと同じですね。
算数で子どもがつまずいたときは、解き方がわからないのではなく、単純に問題を解く回数が不足しているのかもしれない、という可能性も考えてみましょう。
同じ問題を何度も解くことで、少しずつ力がつき、苦手な問題もわかってきます。
数字をイラストや図形に置き換え、視覚化する
問題を解く際、頭の中のイメージだけで考えるよりも、図やイラストを使って問題を整理するなど、視覚的にわかりやすくすることでより理解力が高まると言われています。たとえばリンゴとミカンが出てくる文章問題などでは、実際にリンゴやミカンの絵を描いてみて数えながら計算をすると、スムーズに問題の答えを出すことができます。
私の子どもが繰り上がりの計算でつまずいていたときは、「空きスペースにマルを描いて、その数を数えてごらん」とアドバイスしました。5+7の計算を、頭の中ですることが難しくても、5個のマルと7個のマルをつなげて数えれば、答えはすぐにわかりますよね。
いろいろな方法を使って答えを導き出せるよう、サポートしてあげるといいでしょう。
とにかく褒めることを忘れずに!
子どもは、保護者に褒めてもらうのが大好きです。褒められることで自信がつきますし、モチベーションアップにもつながります。
「昨日はできなかったのに、一人で解けたね!」「計算式を書こうねって教えたの、覚えていたね」など、ちょっとしたことでも子どもの努力したポイントを見つけて、褒めてあげるようにしましょう。
低学年のうちは、自信をつけさせること、苦手意識を持たせないことがとても重要です。そのため、最初から難易度の高い問題に挑戦させるのではなく、少し簡単なものから取り組ませてみましょう。たくさんマルがもらえれば、自然と「楽しい」「もっとがんばろう」と思えるはずですよ。
ライター:七尾 なお
生活コラムから経済誌まで、ウェブや雑誌を問わずさまざまな媒体で執筆をするフリーライター。男の子と女の子の二児の母。父親向けのコラム執筆や、育児に奮闘する保護者向けの情報サイトの運営など、教育関連の執筆にも力を入れている。
※このコラムは、「ガッケン!ハッケン!学研ゼミ 保護者のよみもの ハッケン!みっけ!」に掲載されていたものです。
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