スピードを上げないでじっくり待っていたのでは、楽しいことには出会えません。
たとえば、行列のできている店があります。
「行列だね。どうする、どうする?」と言っているうちに、どんどん人は並んでしまいます。
行列を見て、やめるならほかのお店に行く、考えるなら並んでから考えればいいのです。
「どうする、どうする?」という時間が圧倒的に長い人がいます。
これは誰かと2人でいる時も、自分1人で何かやる時でも起こります。
これでは楽しいことに出会えません。
楽しいことに出会うためには、すぐやることです。
すぐやったことの中に、楽しみは生まれます。
退屈なことも、スピードを上げてやることで楽しくなります。
もともと楽しいことがあるのではありません。
楽しいことは、すぐやるというスピードの中にあります。
料理と同じです。
今、レストランに行くとみんな料理の写真を撮っています。
自分のブログに、載せたいからです。
その瞬間に、おいしくなくなっています。
料理は、できたてが一番おいしいです。
自分で料理している人は、これがよくわかります。
だから、「早く来て」と言ってもなかなか来ない家族に怒るのです。
「ちょっと待って」と言ってゲームやメールをしている人には、食べさせなくてもいいです。
熱々のものを出すのは、手間がかかります。
自分が食べるのをあとまわしにしながら、家族においしい料理を熱々で食べさせようと、せっかくお母さんがつくっているのです。
オヤジは、よく自慢話をします。
自慢話の途中で料理が運ばれてきても、話をやめません。
これでお店の人からは「あの人にはおいしくつくろうという気持ちが起こらない」と思われます。
出されたものをすぐ食べる人が、シェフに一番好かれるのです。
お寿司屋さんで、お寿司が出されてもなかなか食べない人がいます。
お寿司屋さんでは、トロが空気に接して酸化しないように、1回切るごとにさらしに巻いています。
お寿司は、1分以上置きっ放しにすると乾きます。
その間、オヤジはずっと話しています。
それはつくり手の気持ちを、まったく無視しています。
僕は、編集者から企画を出されたら、その企画のレジュメをすぐつくります。
それは自分の企画を通してくれたり、依頼してくれたことに対しての感謝の気持ちです。
すぐやることを共有していける関係性が、本当のパートナーシップです。
上司と部下、師匠と弟子、先生と生徒、恋人同士でも、すぐやってくれる気持ちというのはうれしいのです。
中谷 彰宏 (なかたに あきひろ)
1959年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科卒業。84年、博報堂に入社。CMプランナーとして、テレビ、ラジオCMの企画、演出をする。91年、独立し、株式会社中谷彰宏事務所を設立。ビジネス書から恋愛エッセイ、小説まで、多岐にわたるジャンルで、数多くのロングセラー、ベストセラーを送り出す。「中谷塾」を主宰し、全国で講演・ワークショップ活動を行っている。
■中谷彰宏公式ホームページ
http://an-web.com/
作品紹介
「すぐやる人」は、仕事でも、恋愛でも、チャンスをつかむ。「すぐやる人」になるための、コツを紹介する。
定価:本体1300円+税/学研プラス
バックナンバー
- 頼まれないうちから、 準備している。
- 早起きするためには、 すぐ寝ること。
- すぐに洗うと、 汚れは速く落ちる。
- 最初の3つを速くすると、あとは勝手に速くなる。
- 予定が入っていても、変更してでも、すぐやる。
- 締切より早く届けると、次の仕事がもらえる。
- 「すぐやる」のと、「やる」のとの差は、少しで大きな開きになる。
- 10秒以内に出ない書類は、役に立たない。
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