いつまでも机に向かわないお子さまにイライラして、つい声を荒げてしまう……。そんなことはありませんか?
本当にやる気を引き出したいなら、声かけの仕方にはもっと気をつけたいところです。
小学3年生、4年生頃になると、自我が芽生え始め、親や大人の干渉を気にしだすといわれています。そんなお子さまのやる気をそいでしまう、ダメな声かけの例を押さえておきましょう。
「言うことを聞かせる」のではなく、「サポート」を
小学3年生、4年生は自我が芽生え始める時期
小学校中学年(小学3年生、4年生頃のお子さま)は、思春期の入り口でもあります。声かけに対する口答えや、言葉の乱れはある程度当たり前と考えて、深刻にとらえ過ぎないことです。「親に向かってそんな口を……!」などと感情的に対応せず、「ずいぶん生意気を言うようになったね」という風に、余裕を持ちつつも、怒っていることが伝わるようにたしなめましょう。
逆に、小学3年生、4年生頃でも素直に言うことを聞く子には、自分で考えて行動できるように「どうすればいいと思う?」と促すなどしてサポートしてあげたいところです。
短絡的に理由を決めつけてしまわないこと
お子さまが反抗的に振る舞っていると、宿題や勉強に手をつけない時も、単に「反発したいだけ」「なまけているだけ」と決めつけて叱ってしまいがちです。しかし、お子さまも「やらなくてはならないこと」だというのはわかっているはず。それでも反発するのは、宿題や勉強が嫌だというより、保護者さまの言いなりになりたくない、自分の意思で行動したいという気持ちからなのかもしれません。
まずは保護者さまが一歩退いてできるだけ客観的になり、「過剰な声かけが煩わしいのではないか」、「親の考えとは違う、この子なりのやり方やペースがあるのではないか」などと考えて、見守ってみてはいかがでしょうか。
これを言っては逆効果! 事例でみる「NGな声かけ」
NG声かけ1:頭から否定する、保護者のやり方を強制する声かけ
お子さまの反抗的な態度に、保護者さまが高圧的な態度で応えるのは、さらなる反発を生むだけです。「口答えするな」などと言って、頭からお子さまの意見を聞こうとしないのでは、たとえ机へ向かわせることができたとしても、気持ちの上では平行線をたどってしまいます。
ほかにも、「ご飯の前に終わらせなさい」という言葉は、つい出てしまいがちですが、保護者さまのスケジュール感覚を強制される感覚になるため、あまりよくありません。
まずはお子さまの予定や、課題を終える見込み時間なども聞いてみた上で、「約束」をするのがポイントです。そしてこれを守れなかった場合は、しっかりと理由をただし、反省を促すようにしましょう。
NG声かけ2:自立するきっかけを奪うような声かけ
小学3年生、4年生頃のお子さまは、自我が芽生え始めるといっても、まだまだ危なっかしいもの。だからといって、保護者さまが常に先回りして「今やらないと」「間に合わないよ」「こうしなさい」などと世話を焼いてしまうと、お子さまが自分で考えて行動し、自立するきっかけを奪ってしまいます。
同じように、「あなたのために言っている」「ダメなものはダメ」などといった風に、中途半端な根拠を持ち出して、とりあえず言うことを聞かせようとするのもよくありません。
「宿題をしっかりやる習慣がついていないと、勉強についていけなくなって、将来悔しい思いをするかもしれない」など、“なぜなのか”まで噛み砕いて伝え、自ら納得して取り組めるようにしてあげましょう。
NG声かけ3:保護者さまの教育方針をあいまいにする声かけ
反抗的な態度をとるお子さまにありがちな言い分が「よその家(子)はやらなくても怒られない」「みんなやっていない」「きょうだいもやらない・できていない」といったものです。こういった態度に毅然と立ち向かうには、まず保護者さまが「よそはよそ、うちはうち」、そして「きょうだいであっても個々に向き合う」という方針をブレさせないことです。
まず、ほかのお宅のお子さまやきょうだいを引き合いに出して「○○ちゃんはできているのに」「○○ちゃんも我慢しているから」と言わないこと。また、「先生が言っていたから」「塾で○○と言われたから」など、保護者さまではない誰かを基準にすることは避け、常に保護者さまご自身の考えのもとにたって声をかけるようにしましょう。
小学3年生、4年生のやる気を引き出す声かけの方法は?
筋を通して納得させることから実践へつなげる
反抗的な態度に気を取られがちですが、小学3年生、4年生頃は、お子さまが自立し始めるタイミングでもあります。自分でやってみたいお子さまに対して、保護者さまのやり方や感覚を強いるばかりの声かけをしていては、反発を生むばかりです。お子さまの考えることですからまだまだ未熟なのは当たり前ですし、すべてを唯々諾々と聞き入れる必要はありません。それでも、お子さまなりの言い分を大事にして、まずは聞く姿勢を作り、声をかける際にも、きちんと筋を通して納得させることが大切なのです。
保護者さまがブレない教育方針を持ち、お子さまに伝えていくことは重要ですが、それをどう実践するかは、保護者さまだけでお膳立てせず、お子さまと一緒に考えていきましょう。具体的な例は、本記事の続きとなる「小学3年生、4年生のお子さまへのタイプ別ひと声は? やる気を引き出すほめ方・声かけ(後編)」でお伝えします。
ライター 小芝 泉
学童保育に携わるかたわら、Webライターとして活動中の40代。仕事で多くの子どもたちと触れ合ってきた経験や、大学生の息子・高校生の娘を育ててきた経験から、学童を利用する保護者の相談に乗ることも多い。
関連コラム
・【小学1年生・2年生】子どものタイプ別の声かけは? やる気を引き出す褒め方・声かけ(後編)
※このコラムは、「ガッケン!ハッケン!学研ゼミ 保護者のよみもの ハッケン!みっけ!」に掲載されていたものです。
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