《4》社会人になってから落ちこぼれるのは、独学力がないから。

千田琢哉『生き残るための、独学。』セレクション

更新日 2020.07.30
公開日 2018.07.09
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私はこれまで、膨大な数の「エリート」と呼ばれる人たちと対話してきた。

その中には、泣く子も黙るような名門中高一貫校から一流大学に入り、

見事卒業したにもかかわらず、

社会人になったら仕事は鳴かず飛ばずで、

いつの間にか無残に落ちぶれてしまった

「元エリート」も少なくなかった。

すっかり自信を失ってしまったためなのか、

持ち前の頭の良さは微塵も感じられなくなっている人も複数いた。

そこで私は、なぜ彼らが落ちこぼれてしまったのかヒアリング調査してみた。

誰もが納得いく理由として、

彼らは幼少の頃から、「一流大学合格」を人生のゴールにして頑張ってきたため、

目標達成と共に燃え尽きてしまった、というものがあった。

なるほど確かに、それは一理ある。

だが、私がさらにその原因の原因である真因まで追究し続けた結果、

次の理由が浮き彫りになってきた。

「元エリートたち」には

“独学力”がなかったのだ。

幼少の頃から完璧な環境で、最高に効率の良い勉強術を享受してきたため、

最適なやり方を一から考える習慣が身につかなかった。

そうするうちに社会人になり、最高の環境から外れた途端に何もできなくなり、

壁にぶつかったまま無気力になってしまったのだ。

「中高時代は自分にわからないことがあっても、質問すればいつでもすぐに、

完璧な模範解答を、最高にわかりやすく、懇切丁寧に教えてもらえた」

彼らはこのように言って昔を懐かしがった。

ただレールに乗っているだけで、試験に出る必要にして十分な知識を、

効率的に習得できるカリキュラムを、ひたすら受け身でこなしてきたという。

大学入学後、それらすべての完璧な環境を取り上げられた結果、

彼らは戸惑い、留年を繰り返した挙句に退学したり、

卒業後も“プライドが高くて扱いにくい嫌なヤツ”と見放されたりするのだ。

 

誤解してもらいたくないが、名門中高一貫校出身のエリートたちには、

独学力の高い人が多いのも事実である。

あえて時間をかけて、自分の頭で数学の解法を考えてみたり、

試験には出そうにない分野を独自に勉強したりと、

こちらは完璧な環境の中でも、高い独学力を自然に磨いてきた真のエリートだ。

名門中高一貫校の出身者でさえ

落ちこぼれる可能性があるのだから、

そうではない普通の環境で育った者たちは、

もっと落ちこぼれる可能性がある。

社会人から逆転人生を目指したければ、

独学力を高める以外に方法はないのだ。

(※この連載は、毎週月曜日・全8回配信予定です。次回は、7月16日10:00配信予定です)

 

千田 琢哉 (せんだ たくや)

文筆家。 愛知県犬山市生まれ、岐阜県各務原市育ち。 東北大学教育学部教育学科卒。 日系損害保険会社本部、大手経営コンサルティング会社勤務を経て独立。 コンサルティング会社では、多くの業種業界における大型プロジェクトのリーダーとして戦略策定からその実行支援に至るまで陣頭指揮を執る。 のべ3,300人のエグゼクティブと10,000人を超えるビジネスパーソンたちとの対話によって 得た事実とそこで培った知恵を活かし、 “タブーへの挑戦で、次代を創る”をミッションとして執筆活動を行っている。

■E-mail
info@senda-takuya.com

■ホームページ
http://www.senda-takuya.com/

作品紹介

生き残るための、独学。
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