「今日も、きれいだね」と「今日は、きれいだね」とでは、どちらが女性は喜ぶでしょうか。
講演でこの質問をすると、10人中10人の男性が「今日も、きれいだね」を選びます。
「『今日は、きれいだね』と言ったら、『今日だけで悪かったわね。いつもは汚いということですね』と怒りましたよ。『そんなことないよ。今日も、きれいだよ』と言い直したんです」と言うのです。
これは、男性の勘違いです。
1回で懲りたトラウマがあるのです。
会話は、ひとからげにしないほうがいいのです。
「その時」「その場所」「その人」にだけ言う言葉が、一番喜ばれます。
「やっぱり20代はピチピチだな」というのは、オヤジのセクハラ言葉です。
間違いは、「ピチピチ」と言ったことではありません。
相手を、20代にまとめてしまったことです。
「君はピチピチだな」とか「今日はピチピチだな」と言うなら、まだいいのです。
「やっぱり20代はピチピチだな」は、いかにもセクハラオヤジの女性蔑視の発言になるのです。
女性が「いつもはきれいでなくてゴメンね」と言うのは、怒っているわけではありません。
本当は、喜んでいるのです。
究極、「今日も、きれいだね」より、「今日は、きれいじゃないね」のほうがウレしいのです。
「今日」に限定しているからです。
うしろにつく言葉を考えるより、「今日」の特別性を指摘することです。
ほとんどの男性は、「いつもきれいでなくてゴメンね」という言葉を文字どおり受け取ります。
それがトラウマになって、間違った会話を生み出します。
上っつらの言葉だけで、本当のメッセージをとらえられないと、会話力のない人になるのです。
結局、男性も女性も、会話力のある人がモテるのです。
会話力のある人と、一緒にいたいからです。
たまたまスケジュールがあいて、誰かをごはんに誘います。
AさんとBさんの2人の候補がいた時に、どちらの女性を選ぶかです。
ここで、会話力が求められます。
会話力の意味がわからないと、「あっちのほうが若いからでしょ」ということになります。
年齢も、ルックスも、スタイルも、関係ありません。
選ばれるのは、会話力のある人です。
仕事でも、会話力のある人が、面接にも通るし、出世します。
上司やお客様、恋人に愛される言葉を覚えていくことです。
その第一歩が、挨拶なのです。
中谷 彰宏 (なかたに あきひろ)
1959年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科卒業。84年、博報堂に入社。CMプランナーとして、テレビ、ラジオCMの企画、演出をする。91年、独立し、株式会社中谷彰宏事務所を設立。ビジネス書から恋愛エッセイ、小説まで、多岐にわたるジャンルで、数多くのロングセラー、ベストセラーを送り出す。「中谷塾」を主宰し、全国で講演・ワークショップ活動を行っている。
■中谷彰宏公式ホームページ
http://an-web.com/
作品紹介
好調の「うまくいくシリーズ」第6弾。「会話力のない人」は、モテないし、成功しない。話方を変えると、生き方が変わり、仕事も、恋愛も、人間関係もうまくいく。会話力をつけることでチャンスをつかむ、55の方法を紹介する。
定価:本体1,200円+税/学研プラス