片づけは、「しなければならないこと」ではなく、「したくなること」です。
片づけたいから、片づけるのです。
頑張って、片づけるわけではありません。
「モテるためには部屋を片づけなければいけない」と思っているうちは、まだ生まれ変わっていないのです。
僕が仕事をする時にありがたいなと思うのは、親が片づけ魔だったことです。
父親も母親も年がら年中片づけていて、それが当たり前だと思っていました。
親から受けたしつけは、勉強よりも片づけです。
子どものしつけで大切なのは、勉強よりも片づけです。
僕にとって、片づけは「マスト」ではありません。
親がやっていることを日常生活の中で見ていたので、片づいていないと気持ち悪いのです。
部屋が散らかっている人は、散らかっていても気持ち悪くありません。
むしろ、片づいているほうが居心地が悪くなります。
人に部屋を片づけられると、怒ります。
「片づいているほうが居心地のいい自分」と「散らかっているほうが居心地のいい自分」のどちらを選ぶかです。
スタートラインは、散らかっている状態を「気持ち悪い」「居心地が悪い」と感じることです。
片づけは、そのあとでいいのです。
すべての人が、きれいな状態が好きなわけではありません。
人間の習慣や慣れは、恐ろしいものです。
散らかった部屋にいると、「散らかっているほうが居心地がいい」と感じ始めるのです。
だから、わざと散らかします。
会社でも、机の上が散らかっている人がいます。
そのほうが、居心地がいいのです。
左右に書類を積み上げて、隣の人から隠れる形になります。
あれは巣づくりです。
仕事をしていないことがバレないように、仕事をするふりをするために散らかしているのです。
本当に仕事のできる人は、机が片づいているのです。
部屋を片づけるのではなく、片づけた部屋にいる自分にするのです。
部屋を変えるのではなく、自分の意識を変えるのです。
中谷 彰宏 (なかたに あきひろ)
1959年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科卒業。84年、博報堂に入社。CMプランナーとして、テレビ、ラジオCMの企画、演出をする。91年、独立し、株式会社中谷彰宏事務所を設立。ビジネス書から恋愛エッセイ、小説まで、多岐にわたるジャンルで、数多くのロングセラー、ベストセラーを送り出す。「中谷塾」を主宰し、全国で講演・ワークショップ活動を行っている。
■中谷彰宏公式ホームページ
http://an-web.com/
作品紹介
片づけられる人は、うまくいく。
人生を変える「捨てる」習慣65
片づけられる人は、仕事でも、恋愛でも、チャンスをつかむ。「捨てる」ことで、人生が変わる65の方法を紹介する。
定価:本体1,300円+税/学研プラス
バックナンバー
- 片づいている人は、 誘われてすぐ出かけられる。
- 「少し足りない」が、ぜいたく。
- 安いから買ったモノには、 愛がない。
- 仕事の前に、片づけるのではない。 片づけることが、仕事だ。
- 大きなモノより、小さなモノで差がつく。
- 片づけることで、事故をなくそう。
- 机の上を片づけないと、コールバックが遅れる。
- 部屋を片づけることで、考え方を変えるキッカケができる。