僕が新入社員の時、上司の「タバコを買ってきて」が最初の仕事でした。
徒弟制の一番大切な仕事です。
おつりがおこづかいになります。
上司は、いらないタバコをわざと頼むのです。
「これでお茶でも飲んでこい」と言うと、お金を渡していることになってイヤらしくなります。
「タバコ買ってきて。おつりはコーヒーでも飲め」という流れをつくるために、いらないタバコを買いに行かせるのです。
タバコを買ってくるやりとりで、上司と部下、師匠と弟子の関係が、より緊密で、よりファミリーになります。
「タバコを買ってきて」と頼んでおこづかいをあげるプロセスで、関係を強めたりしながら、この人間はどれぐらい仕事ができるか無意識に試しているのです。
テストしているわけではなくても、結果としてテストになっています。
「タバコを買ってきて」と頼むと、
A君 「今ですか」
B君 「はい、わかりました。買ってきます」
に対応が分かれます。
「今ですか」と言うA君は、ヤル気がないのです。
「イヤだったらいいよ」と言われて予選敗退です。
「買ってきます」と言うヤル気満々のB君とC君の2人がいたとします。
「銘柄は」と聞いたら脱落です。
前も頼んでいます。
タバコの銘柄は変わりません。
「今日は別のタバコを吸ってみたい」と言う人はいないのです。
数を聞く人も脱落です。
一度頼まれたことは、自分のヒストリーの中に入れて覚えておくことが大切なのです。
中谷 彰宏 (なかたに あきひろ)
1959年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科卒業。84年、博報堂に入社。CMプランナーとして、テレビ、ラジオCMの企画、演出をする。91年、独立し、株式会社中谷彰宏事務所を設立。ビジネス書から恋愛エッセイ、小説まで、多岐にわたるジャンルで、数多くのロングセラー、ベストセラーを送り出す。「中谷塾」を主宰し、全国で講演・ワークショップ活動を行っている。
■中谷彰宏公式ホームページ
http://an-web.com/
作品紹介
かわいがられる人は、 うまくいく。
エコヒイキされる68の方法
「かわいがられる人」は、仕事でも、恋愛でも、チャンスをつかむ。「かわいがられる人」になるための、コツを紹介する。
定価:本体1300円+税/学研プラス
バックナンバー
- 小さな仕事を大切にする人は、 大きな仕事を任される。
- 相談は、 「どうしましょう」ではなく、 「こうしていいですか」。
- 一度頼まれたことは、 「いつもの」でわかるようになる。
- エコヒイキされなかった時に、 グチらないで、エコヒイキされている人が していることから学ぶ。
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