フライングを 習慣化する。

千田琢哉『「仕事が速い」から早く帰れるのではない。「早く帰る」から仕事が速くなるのだ。』セレクション

更新日 2020.07.31
公開日 2017.10.23
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競技の際、「よーい、ドン!」の合図の前に、
早々とスタートを切ってしまう行為を「フライング」と呼ぶ。
スポーツの競技会や学校の試験で
フライングすればルール違反となるが、

仕事においてはフライングが常識であり、
スタンダードである。

それどころか、一流の世界ではフライングしなければ遅刻と見なされるほどだ。
私がこれを痛感したのは、コンサルタント時代のことだ。
経営コンサルタントが大型プロジェクトを受注するためには、
競合他社との企画コンペで勝ち抜かなければならないことがある。
この際、バカ正直に締め切り日に企画を提出していては、お話にならない。
数え切れないほど存在した実例として、
締め切りギリギリに提出したら、とっくに他社企画が通っており、
すでにプロジェクトはスタートしていた、ということも日常茶飯事だった。
一流の世界では、締め切りとは「最悪の場合でもここまで」という意味であり、
締め切りに間に合えばセーフという意味ではない。
仮にここで、世界の大富豪たちが、
何百億の価値を生む仕事をしている場面を想像してみてほしい。
彼らが最高の仕上がりの企画を前にして、
「お、これはいい考えだ。締め切りまで待てない!」
と判断した時、律儀に他の者の企画提出を待っていると思うだろうか。
そんなはずはないだろう。
どうせ締め切りまで待っても、これよりいいアイデアなどありえない。
この企画は何よりも、実行のスピードが勝負だ。
そんな時には、適当な理由をでっち上げ、フライングでスタートするはずだ。
綺麗事を抜きにすれば、ビジネスの世界というのは弱肉強食の世界であり、
時間をどれだけ有効に使えるかが、成功の生命線である。

わずか半日のスタートの違いで、一方は勝者となり、
一方は敗者となるのも珍しいことではない。

もちろん、熟考しないままフライングして失敗することもあるが、
確率で考えれば、どう贔屓目に見てもフライングしたほうが勝ちやすい。
「今日中に」と言われたら、今すぐやることだ。
「明日までに」と言われたら、今日中にやることだ。
「今週中に」と言われたら、明日の朝イチまでにやることだ。
「今月中に」と言われたら、今週中にやることだ。
それにより、あなたは上司やクライアントの絶大な信頼を得るだろう。
「締め切り当日は遅刻と同じ」と考えるようになれば、とりあえず合格だ。

(※この連載は、毎週月曜日・全8回掲載予定です。次回は10月23日掲載予定です。)

 

千田 琢哉 (せんだ たくや)

文筆家。 愛知県犬山市生まれ、岐阜県各務原市育ち。 東北大学教育学部教育学科卒。 日系損害保険会社本部、大手経営コンサルティング会社勤務を経て独立。 コンサルティング会社では、多くの業種業界における大型プロジェクトのリーダーとして戦略策定からその実行支援に至るまで陣頭指揮を執る。 のべ3,300人のエグゼクティブと10,000人を超えるビジネスパーソンたちとの対話によって 得た事実とそこで培った知恵を活かし、 “タブーへの挑戦で、次代を創る”をミッションとして執筆活動を行っている。

■E-mail
info@senda-takuya.com

■ホームページ
http://www.senda-takuya.com/

作品紹介

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