相手のペースに 巻き込まれないレッスン

石原加受子『「とにかく優位に立ちたい人」を軽くかわすコツ』セレクション

更新日 2020.07.17
公開日 2017.10.19
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◆相手の気持ちを認めてみる
「優位に立ちたい人」はことさら、「自分の敵か味方か」を見分ける必要があるので、相手がどんな意識でいるかに非常に敏感です。
 あなたがそんな人たちとつき合わなければいけないとき、一体どうすればいいのだろうと途方に暮れてしまうでしょう。
 けれども、何度も「関係性が大切である」と述べているように、自分自身の対応が変われば、相手との「関係性」を変えることは可能です。
 たとえば、あなたが自分の好きなことをしているときに、「これ、どこにあるか、わからないんだ。探してよ」
 と相手が言ってきました。
 このときあなたが、相手を無視して好きなことを継続しようとしたなら、相手は「ほら、早く!」などと声を荒らげてあなたを急かすでしょう。
 もしもあなたが、これまでの関係で、いつも黙って従っていたのだとしたら、ここでそのパターンが破られたことになり、相手はいっそう感情的になって、あなたを動かそうとするでしょう。
 こんなふうに、優位に立ちたい人に対して正面から戦いを挑んでも、決していい結果にはならないことが多いのです。
 
 では、そんなときに、こんな対処方法をとったとしたらどうでしょうか。
 相手の感情に乗らずに、
「これが終わってからで、いいかな?」
「これを先にやってしまいたいのね。あと1時間、待ってくれないかなあ」
「今、このテレビを観たいんだ。これが終わってからでいいんだったら、手伝えるわよ」
 こんな「断り方」もできます。
 言い換えれば、こんな「引き受け方」もできます。
 自分中心心理学では、これを「中間の断り方、引き受け方」と呼んでいます。
 こんな「中間の断り方、引き受け方」が好ましいのは、まず、「自分の気持ちを優先できる」ということです。
 と同時に、「相手の要望」も受け入れています。
 相手にとっては、「自分が否定されない。拒否されない」から、あなたの希望を受け入れることができる、ということなのです。

◆「感情的」ではなく「具体的」に示す
 もっとも、この文章を読むだけならば、すぐにできるような気がするでしょうが、いざ、感情的になりそうな人を前にすると、咄嗟(とっさ)にこうした応答はできないかもしれません。
 というのは、これらは日頃から「自分を大事にすること」に焦点が当たっていないと出てこない言葉だからです。
「私は、私の欲求を満たしていい。自分の気持ちを大事にしていい。自分を優先していい」
 という意識が普段から育っていないと、相手ばかりが気になって、自分のほうに意識が向きません。
 優位に立ちたい人が感情的になって言ってきたとしても、あなたが自分のほうに意識を向けていれば、相手の都合に先んじて、「私は、今、これをしているのが楽しい。だから、これを続けたい」
 という「私の欲求や気持ち」に気づきます。
 さらに、そんな自分の欲求や気持ちを大事にするために、「私のしたいことのほうを優先していいんだ」
 ということが、心から認められるでしょう。
 こうした「自分中心」の意識が普段から自分の中に育っていると、職場でも、「あと30分ほどで終わりますので、これが終わってからでいいでしょうか」
 などと応対することができるのです。
 このように普段から自分中心になっていると、優位に立とうとする相手を前にしても、自分を優先することができます。また、そうやって意識が自分のほうに向いていればその分だけ、相手が感情的になっていたとしても、気にならない心理状態でいられるでしょう。
 こんなふうに、感情で支配してくる人に対しては、感情で対抗するのではなく、自分の欲求や気持ちに沿って、自分を優先するために「具体的」に提示していくことです。

 (※この連載は、毎週木曜日・全8回掲載予定です。次回は、10月26日掲載予定です。)

 

石原 加受子 (いしはら かずこ)

心理カウンセラー。
「自分中心心理学」を提唱する心理相談研究所オールイズワン代表。日本カウンセリング学会会員、日本学校メンタルヘルス学会会員、日本ヒーリングリラクセーション協会元理事、厚生労働省認定「健康・生きがいづくり」アドバイザー。 思考・感情・五感・イメージ・呼吸・声などをトータルにとらえた独自の心理学をもとに、性格改善、親子関係、対人関係、健康に関するセミナー、グループ・ワーク、カウンセリング、 講演等を行い、心が楽になる方法、自分の才能を活かす生き方を提案している。
『母と娘の「しんどい関係」を見直す本』(学研プラス)、『仕事・人間関係「もう限界!」と思ったとき読む本』(KADOKAWA)、『わずらわしい人間関係に悩むあなたが「もう、やめていい」32のこと』( 日本文芸社)、『金持ち体質と貧乏体質』(KKベストセラーズ)など著書多数。

 

作品紹介

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