ブレる人もブレない人も、迷うことはあります。
迷うことでブレるのではありません。
迷うタイミングが違うのです。
ブレる人は、決めたあとに迷います。
これは、永遠に続きます。
「でも、でも……」「やっぱりそれでよかったのかな」と言い始めます。
ブレない人は、さんざん迷っても、決断したあとは迷いません。
「決断」と「判断」は違います。
ブレる人は、「判断」をします。
ブレない人は、「決断」をします。
「判断」は、正しいほうを選びます。
「決断」は、間違っているほうを選ぶ可能性もあります。
間違っているかもしれないけど、好きなほうを選ぶのが、「決断」です。
決断は、
① 好きなほうを選ぶ
② 最終的に正しくなるように、工夫する
という2段階があるのです。
好きなほうを選ぶだけでは、「決断」とは言えません。
好きなほうを選んでうまくいくのは、最終的にはそれが正しくなるように工夫するからです。
「判断」は、今その時点で正しいほうを選ぶので、状況が変わると間違った結果になる可能性があります。
たとえば、多数決で2対8になりました。
その時に、8を選ぶのが「判断」で、2を選ぶのが「決断」です。
「2を選んだ限りは、絶対成功させないといけない」と工夫するから、うまくいくのです。
これが、ブレない人です。
「みんなの決をとろうか」と言う時点で、このリーダーはくじけています。
多数決で決めるなら、リーダーはいりません。
2対8になった時に、「じゃ、8だね」と言うリーダーはブレています。
多数決は、その場の空気で結果が変わります。
「でも僕は2のほうだと思うな」「2で行こう」と言った時点で、リーダーに責任がかかります。
そういう時は、「何がなんでもこの2で成功させてやる」と工夫すればいいのです。
ドン引きされたり反対された時に、粘れることが大切です。
ある出版社に提案して、ボツになった企画がありました。
ボツになったからといって同じ出版社にゴリ押ししなくても、「よし、絶対成功させて、いい企画だったことを証明してやろう」と頑張ればいいのです。
結果として、よそでボツになった企画はいい企画になります。
ベストセラー『もしドラ』は、ボツになりまくりの企画だったそうです。
ボツになるたびに、成長したのです。
最初から通ってしまうと、大ヒットにならないこともあります。
多くの人の賛同を得られないことが、大ヒットする要因にもなるのです。
みんなが反対する意見をそのままやっても、うまくいくことはありません。
反対されたほうを選んで、なおかつそこに工夫を加えることによって、大ヒットにつながります。
これが、ブレない人の「決断」なのです。
中谷 彰宏 (なかたに あきひろ)
1959年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科卒業。84年、博報堂に入社。CMプランナーとして、テレビ、ラジオCMの企画、演出をする。91年、独立し、株式会社中谷彰宏事務所を設立。ビジネス書から恋愛エッセイ、小説まで、多岐にわたるジャンルで、数多くのロングセラー、ベストセラーを送り出す。「中谷塾」を主宰し、全国で講演・ワークショップ活動を行っている。
■中谷彰宏公式ホームページ
http://an-web.com/
作品紹介
うまくいく人は、ブレない生き方をしている。人に好かれようとするのではなく、自分軸で行動し、チャンスをつかむ方法を紹介する。
定価:本体1300円+税/学研プラス
バックナンバー
- ブレる人は、「なんとかして」と言う。 ブレない人は、「なんとかしよう」とする。
- ブレる人は、ミスをしないことを目指す。 ブレない人は、挽回することを目指す。
- ブレる人は、決めたあと、迷う。 ブレない人は、決断のあとは、迷わない。
- たった1人のために仕事をすれば、迷わない。
- ほめも批判も、8掛けで聞く
- 基準が、まわりの目になると、ブレる。
- ブレる人は、好かれようとして発言する。ブレない人は、自分軸で発言する。
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