前編では、2018年4月から変わる新しい理科の変更点をご紹介しました。今回は、ご家庭で理科の力を育てるためのコツについてご紹介します。日常生活の中のちょっとした疑問や発見から理科への興味・関心を広げていきましょう。
楽しみながらやってみよう! 理科の力をつける5つの日常シーン
理科は私たちの身の回りで起きる出来事とつながっていることが多いため、それらに目を向けていくことが理科の力を育むことにつながります。
1.マグネットはどこにくっつくの?(小学3年生~)
冷蔵庫や台所にマグネットはありませんか?もしあれば、マグネットがくっつくもの、くっつかないものをお子さまと一緒に調べたり、引っ張られる強さを比べたりしてみたりするなどの実験をしてみましょう。そして、その実験結果をノートなどに書き留めれば、考える・まとめるという作業のトレーニングになります。
ただし、腕時計など金属製の精密機械やパソコンのハードディスク、キャッシュカードなど、磁石を近づけると故障するものもあるので、注意しながら行いましょう。
2.硬くなったびんのふたを開けるには?(小学4年生~)
ジャムなどが入ったびんのふたが開かなくて、困るときがありますよね。そんなときは科学的に解決する方法を考えてみましょう。4年生の理科では、金属は温度によって体積が変わることを学びます。開かないびんのふたは冷えて収縮していること、元に戻すには温めればよいことなどに気づくよう促していきましょう。くれぐれも、やけどやびんの破損などには注意をしてお試しください。
3.ブランコが揺れ続ける理由を考える(小学5年生~)
一度は乗ったことのある、公園のブランコ。一度動き出したら、しばらくは誰かに押してもらわなくても揺れ続けますよね。
小学5年生では「ふりこのきまり」という学習を通して、重力について学びます。「ふりこのきまり」とブランコが揺れ続ける理由は同じであることを、実験を通して考えることができます。
用意するのは、Sの字フック、ひも、たわしの3点。たわしとひもを結び、フックをカーテンレールなどにひっかけて、そこにひもをかければ準備完了。
ひもの長さやたわしの重さで振れ幅が変わることと、ブランコをこぐときの動きとの関係性はどんなことか、考えてみましょう。
保護者のみなさまは実験のサポートとして、一往復にかかる時間を測ったり、お子さまの考えが整理できるように促したりすれば、いっそう理解が深まることでしょう。
4.緑のカーテンについて考える(小学5~6年生)
植物を育てることが好きなお子さまであれば、今年は、ゴーヤやヘチマ、アサガオなどつる性の植物を利用した緑のカーテンづくりに挑戦してみてはいかがでしょうか。
小学5~6年生では植物の成長条件や植物が作り出すもの、環境との関わりについて学びます。高く成長したら、日光が当たる面とその内側(当たらない面)の温度を測ってみてください。
都市部ではビルの屋上を農園にするといった取り組みが見られます。なぜそんなことをするのか、緑のカーテンとの関係性と合わせて考えてみるとよいでしょう。
5.栓抜きのひみつは、てこの規則性(原理)(小学6年生~)
台所にある栓抜きも立派な学習教材になります。栓抜きのしくみはシンプルなものですが、どうやって力を伝えているのか、お子さまに考えてもらいましょう。
小学6年生になると、てこの規則性(原理)を学びます。公園のシーソーを栓抜きに当てはめてみましょう。
また、家の中には他にも、てこの規則性(原理)を利用した道具があるかもしれません。宝探しをするように楽しんでみましょう。
理科の授業は小学3年生からですが、ここに挙げた実験は、低学年でも保護者のフォローがあればできるものもあります。ぜひ、ご家族みなさまでチャレンジしてみてください。
ご家庭で理科の実験に取り組むときのコツ
普段は気に留めない出来事や、当たり前に使っている道具類は、実は理科的な法則や規則によって起こったり動いたりしています。日常生活と理科的な出来事が密接につながっていることに気づけるようなきっかけづくりを、普段から意識していきたいですね。
時には大人でもわからないことや説明できないことが出てくるかもしれませんが、お子さまと一緒になって考えてみることが大切です。そして、すぐに答えを出すのではなく、試行錯誤しながら進んでいくという工程を踏むことが、本質への理解につながります。
お子さまがわからなくなっているからといって先回りせず、ヒントを出しながら、お子さまの行動を見守っていきましょう。
【執筆者紹介】
特定非営利活動法人日本ITイノベーション協会
平成16年1月に内閣府からの認証を得て以来、「Instructional Technology(教育的技術)」を旨とし、「経済協力開発機構(OECD)」が提唱する国際的人材育成指標である各種コンピテンシーをベースに人材育成の基軸を設定。国や各自治体・各大学・各企業が制定している個別指標と紐付けてカスタマイズし、実用可能な教育プログラムの開発を手掛ける。国の教育指針である「生きる力」とは、自分で問題発見を行い、周囲を巻き込み問題解決していく力であると捉え、「社会に出て、社会を築く人材」を輩出するための教育プログラムの開発を行い、小学生~高校生の教育にも力を入れている。
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※このコラムは、「ガッケン!ハッケン!学研ゼミ 保護者のよみもの ハッケン!みっけ!」に掲載されていたものです。
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