みなさん、地頭という言葉を聞いたことはありますか? 「成績や学歴だけでなく、地頭のよさが大切」など、ビジネスシーンでもしばしば話題になる言葉です。受験からビジネスまで、生涯にわたって重要といわれる地頭を鍛えるのは、早ければ早いほどいいのだそうです。
今回は、地頭がいいとはどういうことか、また就学前に子どもの地頭を鍛えるためには何をすればいいかをご紹介します。
「地頭がいい」と「頭がいい」の違い
「頭がいい」とは、「成績がいい、知識が豊富である」という意味を指すのが一般的です。一方、「地頭がいい」とは、一言でいえば「問題にぶつかったとき、知識や経験が無くても自分で考え、問題を解決できる力がある」ということです。
文部科学省では、変化の激しいこれからの社会を生き抜く力として、「確かな学力」、「豊かな人間性」、「健康・体力」の3つを掲げています。「確かな学力」とは、知識や技能だけではなく、自らの力で問題解決する資質や能力等まで含めたものとしています。まさに、これからの社会を生き抜くためには、従来の「頭がいい」に加えて、「地頭がいい」ということが大切なのです。
地頭を鍛える4つの方法
地頭がよくなる土台づくりには、就学前の過ごし方が大切です。「まだ小さい子どもには早いのではないか」「幼児教室に通ったり、高額で特別なトレーニングをする必要があるのでは」などと心配される方もいらっしゃるかもしれません。しかし、日常生活の過ごし方を工夫することで、地頭を鍛えることができるのです。
実際に地頭を鍛えるには、どうすればいいのでしょうか。「地頭がいい」とは、集中力・考え抜く力・知的好奇心・創造力・コミュニケーション力などがあることだと言われています。このような力を鍛えるために、次の4つのことを日常生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
1.パズルや折り紙など集中できる遊び
子どもに集中力をつけさせるためには、パズルや折り紙、積み木、ブロックなど、一人で集中してできる遊びをさせましょう。新しいカタチのものを作り上げる積み木やブロックは創造力を身につけることにも役立ちます。
折り紙は、段階的に難しい折り紙をさせることで、知的好奇心や新しいことに挑戦しようという気持ちを育てます。
パズルは、簡単なイラストのものから、日本地図などのように知識を吸収できるものへとステップアップしましょう。タブレット学習などのパズル教材も、楽しみながら集中力を身につけ、知的好奇心を育てることができます。
2.対戦型のゲームを親子で一緒にする
トランプの七ならべやオセロなど、対戦できるゲームを親子でやってみましょう。将棋や囲碁もおすすめです。ゲームに勝つための手を考えたり、ゲームの駆け引きを学びながら、考え抜く力を鍛えることができます。また、相手に出し抜かれたり、相手を出し抜いたりしながら、勝ち負けの結果を競い合うことでコミュニケーション力を身につけることができます。特に、平日はコミュニケーションの時間が少ないお父さんと対戦の機会を持ってみてはいかがでしょうか。
3.自然と触れ合う
キャンプやウォーキングイベントなど、日常生活とは違う環境で過ごすことも大切です。自然の中で、植物や動物に出合い、それらの名前や生態を親子で会話しながら学ぶことで、知的好奇心が育っていきます。
家族だけでなく、他の人たちと一緒にバーベキューをしたり、オリエンテーリングなどのアクティビティを楽しんだりするのも効果があります。普段、接しない人と会話や行動を共にすることで、「何を話したらいいか」「自分の思いを伝えるためにはどうしたらいいか」など、コミュニケーション力を伸ばすことができます。
4.親子の会話を大切にする
就学前に地頭を鍛えるために、最も大切なのは「親子の会話」です。就学前の子どもは、思いもよらない疑問を保護者に投げかけることも多いでしょう。しかし、一方的に否定したり、簡単に答えを教えてしまうのではなく、「面白い質問だね。一緒に考えてみよう」など、子どもの疑問を受け止め、会話を繰り返すことが大切です。
また、疑問を受け止めるだけでなく、「なぜ、虹はできるのかな」「犬には、何種類あるのかな」など、親から子どもへ疑問を投げかけるようにしましょう。一生懸命考え抜いて、独創的な答えを出したり、図鑑や本で調べたりすることで、集中力・考え抜く力・知的好奇心・創造力・コミュニケーション力という地頭のよさを構成する大切な能力を身につけることができます。
ご紹介したように誰かが答えを教える、といった学び方で「地頭を鍛える」ことはできません。しかし、日常生活の中に、さまざまな考えるきっかけを取り入れることで、自然と地頭を鍛えることができます。子どもは、これから受験・就職・仕事・結婚・子育てなどのさまざまなシーンで直面する問題を解決しながら生き抜いていかなければなりません。ぜひ、ご紹介した地頭を鍛える方法を実践して、子どもの生きる力を育みましょう。
ライター:岩田 園絵
プログラミングや英語、ピアノ、ゴルフなどの教室や体験学習に奔走しつつ、子育てに力を注ぐママライター。高校生と小学生の子どもと忙しい日々を過ごす。暮らし、医療、グルメなどさまざまなジャンルの記事を執筆。
※このコラムは、「ガッケン!ハッケン!学研ゼミ 保護者のよみもの ハッケン!みっけ!」に掲載されていたものです。
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