10月16日は「辞書の日」です。
保護者さまも子どもの頃に国語辞典や英和辞典を使った経験があると思います。辞書は現代の子どもの学習にとっても欠かせないものです。しかし、辞書を使い慣れる前に苦手意識を持ってしまう子どもも多いといわれています。
まずは、辞書に慣れ親しむところから始めてみましょう。辞書の日にちなんで、辞書に関するさまざまなトピックをまとめました。ぜひお子さまと「辞書っておもしろいんだね」と話すきっかけにしてみてください。
もくじ
辞書の日とは?
10月16日は「アメリカの学問・教育の父」と呼ばれている辞書製作者ノア・ウェブスターの生誕記念日で、彼の功績を称えて「辞書の日」として定められました。多くの人たちが長年かけて作り上げた辞書ですが、初めて辞書を使う子どもにとっては「文字が多くて読む気がしない」「難しい」ものかもしれません。でも、本当はとてもおもしろいものです。
辞書の日にはぜひお子さまと一緒に辞書を開いてみてください。
子どもと話そう! 辞書にまつわるアレコレ
1.辞書と辞典の違いは?
わからない言葉を調べたいとき、「辞書を取ってくれる?」と言ったりしますよね。でも、その辞書には「国語辞典」や「英和辞典」という名前がついています。辞書と辞典には何か違いがあるのでしょうか。
辞書と辞典は同義語として扱われることが多く、明確に使い分けされているわけではありません。しいて言うならば「辞典」は言葉の意味などを調べるための書籍を指すのに対して、「辞書」は言葉の意味などを調べられる書籍に限らないデータベースのことを指します。たとえば「国語辞典」のことを「辞書」とは呼んでも、スマートフォンやパソコンで使う「電子辞書」のことを「辞典」とはあまり言いませんよね。同じような言葉でもちょっとしたニュアンスが違うという点も言葉のおもしろいところです。お子さまと一緒に同じような意味の言葉を探してみても楽しいでしょう。
2.みんなどれくらい辞書を使ってるの?
統合型オンライン辞書サイトweblioを運営するウェブリオ株式会社が、10~60代を対象に実施した調査によると、回答者の8割以上が「日常的に辞書を利用する」と答えました。また、ほぼ100%の人が「わからない言葉に出会ったときに辞書で調べようと思う」と回答しています。このように授業で辞書を使う学生だけでなく、大人にとっても辞書は身近な存在であることがわかりますね。
オンライン辞書と紙の辞書の違い
1.オンライン辞書を使う人が増えている
インターネットが普及してからオンライン辞書を使う人の割合がどんどん増えていて、いまでは紙の辞書を使う人の割合を大きく上回っているとの結果が明らかになりました。パソコンやスマートフォンが手元にあればすぐに調べられるので、わからないことはインターネットで調べるということが浸透してきている証拠ですね。
学校の授業ではまだまだ紙の辞書を使いますが、生まれた頃から身近にスマートフォンやパソコンがある「デジタルネイティブ世代」と呼ばれる子どもたちは、オンライン辞書に対する抵抗があまりないようです。
子どもたちにとって、インターネットを使って何かをすることが生活の一部となりつつあるところを垣間見ると、オンライン辞書のメリットである、わからない言葉を検索窓に打ち込むだけで、すぐに欲しい答えが返ってくる点を上手に活用することが想像できます。そこで調べた言葉の説明の中に気になる言葉があれば、その言葉も瞬時に調べられるため、子どもの「もっと知りたい!」という欲を刺激できるでしょう。
また、オンラインだからこそ存在する検索ランキングでは、たくさんの人が調べた言葉を気軽に知ることができます。その言葉の中には、季節の言葉やその時期に流行った言葉などもあるため、見ていてとてもおもしろいですよ。
そのほか、単純に紙の辞書とは違いとても軽量であることもオンライン辞書の魅力と言えるでしょう。
2.紙の辞書の魅力
オンライン辞書も魅力的ですが、紙の辞書にもたくさんの魅力があります。
たとえば、紙の辞書はぱらぱらとめくっている間に知らない言葉との出会いがあります。そして、ある種「よみもの」としても楽しめるのが紙の辞書の魅力です。辞書ごとに個性があり、同じ言葉でも解釈が違う言葉があるので、読み比べてみるのも楽しいものです。これらは目的の言葉だけを調べるオンライン辞書ではできない楽しみ方です。
ほかにも調べた単語に印をつけられるという魅力があります。子どもの頃、先生に「一度辞書を引いた言葉にはマーカーを引いておきなさい。そうすれば、前にも辞書を引いた言葉だということがわかりますよ」と言われた経験がある方もいるのではないでしょうか。
言葉の意味を調べてそこに印をつける、あるいはすでに印がついていることに気づくという「辞書引き学習」は、自分から学ぶ勉強力を身につけるために大切なことだといわれています。それに、どんどん増えていくマーカーを見ていると「自分だけの辞書」を作り上げていくような楽しみもありますね。
3.国語辞典だけでもこんなにある! 見比べてみよう
国語辞典ひとつとっても以下に挙げるようにたくさんの種類があります。まずは実際に辞書を手にとってお子さまの好みに合ったものを探してみましょう。
お子さまにおすすめの辞書
・新レインボー はじめて国語辞典(オールカラー)
・新レインボー小学国語辞典 改訂第6版 小型版(オールカラー)
・小学生のまんがことわざ辞典 改訂版
調べてみよう! 間違った意味で使われる言葉トップ10
辞書の日を記念して、『大辞泉』編集部から発表された「間違った意味で使われる言葉ランキング」の中から、いくつかの言葉を紹介します。間違った意味で使っていないか、お子さまと一緒に辞書を引いて調べてみてください。
・ハッカー
・確信犯(かくしんはん)
・他力本願(たりきほんがん)
・姑息(こそく)
・敷居が高い(しきいがたかい)
いつも辞書をそばに置いておこう
デジタルネイティブ世代の子どもたちにとって、わからないことはまずインターネットで調べることが常識となりつつありますが、紙の辞書にはオンライン辞書にない魅力がたくさんあります。
子どもにただ辞書を渡してもなかなか調べようとはしません。まずは保護者が読書をする際に必ずそばに辞書を置いておき、気になる言葉があればすぐ辞書を引く姿を見せましょう。それだけでも、辞書は身近なものだという意識が生まれ、子どもも辞書に親しみやすくなるはずです。
10月16日は辞書の日ということで、ぜひ保護者さまもお子さまと一緒に辞書を活用してみてください。
※クイズの答え(出典:『大辞泉』調査)
・ハッカー……コンピューターやインターネットにくわしい人
・確信犯(かくしんはん)……信念に基づいて「正しいことだ」と思い込んでする犯罪
・他力本願(たりきほんがん)……自らの修行などによって悟りを得るのでなく、仏の力によって救済されること
・姑息(こそく)……一時しのぎであるさま
・敷居が高い(しきいがたかい)……相手に不義理などがあって、その人の家に行きにくい
ライター 七尾 なお
生活コラムから経済誌まで、ウェブや雑誌を問わずさまざまな媒体で執筆をするフリーライター。男の子と女の子の二児の母。父親向けのコラム執筆や、育児に奮闘する母親や父親向けの情報サイトの運営など、教育関連の執筆にも力を入れている。
※このコラムは、「ガッケン!ハッケン!学研ゼミ 保護者のよみもの ハッケン!みっけ!」に掲載されていたものです。
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