この蔵書はまさに汗牛充棟ですね。

千田琢哉『20代で人生が開ける「最高の語彙力」を教えよう。』セレクション

更新日 2020.07.30
公開日 2018.02.26
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私がこれまでに出逢ってきた成功者たちは、全員が読書家であったわけではない。
中には「本なんて読んでも無駄」「経験こそが大切だ」という、
一貫したポリシーの持ち主もいたが、
そうした成功者たちの共通点は、成功が長続きしないことだった。
私の基準で「20年以上の成功」に達している、
長期的な成功者たちは、少なく見積もってもその90%以上が読書家だった。
まるでちょっとした図書館のように膨大な蔵書を所有している人もいて、
彼らとすぐに打ち解けて親しくさせてもらったものだ。

博覧強記である彼らから学んだことははかり知れず、
現在こうして本を書いている内容も、
彼らから学んだことが大きく影響していることは言うまでもない。
では、彼らにどんな言葉をかけると打ち解けられるのか。
「この蔵書はまさに汗牛充棟(かんぎゅうじゅうとう)ですね」
書斎を見せてもらったら、溜息をついてからそう力強くささやけばいいのだ。
汗牛とは、蔵書を運ばせると、文字通り牛が汗をかくほどの重みがあること。
充棟とは、蔵書を積み上げれば、その高さが家の棟木まで到達してしまうこと。
つまり汗牛充棟とは、驚愕するほど蔵書が膨大であるという意味なのだ。

私が知る限り、無類の読書家で汗牛充棟の意味を知らない人は、
これまでに一人もいなかった。
だから汗牛充棟は本好き同士の間では合い言葉であり、
秘密の暗号のような役割を果たしているのだ。
この言葉を知るだけで、読書家と親しくなれる可能性がグンと高くなるだろう。

(※この連載は、毎週月曜日・全8回掲載予定です。次回は3月5日掲載予定です。)

 

千田 琢哉 (せんだ たくや)

文筆家。 愛知県犬山市生まれ、岐阜県各務原市育ち。 東北大学教育学部教育学科卒。 日系損害保険会社本部、大手経営コンサルティング会社勤務を経て独立。 コンサルティング会社では、多くの業種業界における大型プロジェクトのリーダーとして戦略策定からその実行支援に至るまで陣頭指揮を執る。 のべ3,300人のエグゼクティブと10,000人を超えるビジネスパーソンたちとの対話によって 得た事実とそこで培った知恵を活かし、 “タブーへの挑戦で、次代を創る”をミッションとして執筆活動を行っている。

■E-mail
info@senda-takuya.com

■ホームページ
http://www.senda-takuya.com/

作品紹介

20代で人生が開ける「最高の語彙力」を教えよう。

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