何歳からでも、よい習慣を始められる

緑川明世『尼僧が教える 心の弾力のつくり方』セレクション

更新日 2020.07.22
公開日 2018.05.28
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「忘れない工夫」「続ける工夫」で、
生活が変わります

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 新しい習慣を身につけるのに、40代、50代はチャンスだと私は思っています。
 仕事でも一定の実績ができ、家庭がある人は子育ても落ち着く。精神的にも成熟して、体力もある。そんな時期だから、自分をさらに深めるためのチャレンジには絶好の機会なのです。
 
 自分を大切に思う心があれば、同様に、他者も大切に思えます。
 まず自分自身が日々いきいきと生きられる習慣を取り入れていきましょう。
 物事を続けるのは、実はハードルがそんなに高くありません。
 それまでやっていなかったことを始めるのですから、当然、最初は少し努力が必要です。でも、その努力もほんの少しでいい。「これを絶対1ヶ月続けるぞ!」と力んだりしなくてもいいのです。
 なぜかというと、一日やったら「明日もやろう」と思えばいいだけだからです。
 たとえば、腹筋運動をしていて「もう限界!」というときに、「目標○回までがんばらなきゃ」と思うと心が萎えますが、「あと1回だけやってみよう」と思えば、意外にがんばれますね。
 だから、もし翌日やるのを忘れても「ダメだった」と落ち込まず、「また明日やればいいか」と「憶念(おくねん)」して、次の日にまたやれば大丈夫。途切れながらも続ければ、その習慣が、新しいクセになります。
 そして、それが「クセ」になれば、やらないと落ち着かなくなっていきます。
 
 ただし人間は、忘れやすい生き物です。私たちの心は移り変わっていくので、ずっと同じ気持ちで続けようと思っても、むずかしいですね。
 私も数歩歩いたら、やろうとしていたことを忘れてしまうこともあります。
 でも、一度覚えたことをずっと忘れなかったら、新たなことを取り入れることもむずかしくなるかもしれません。まずは、忘れることを前提として、「忘れない工夫」「続けられる工夫」をすればいいのです。
 
 たとえば、こんな工夫はどうでしょう。
「一日一回、深い呼吸をする」「人に八つ当たりしそうになったら、トイレで気分転換する」「心と体を休めるために月に1回は公園や温泉に行く」など、自分が決めた目標や新たに身につけたい習慣を、手帳や日記に書いておく。
 あるいは、携帯電話の待受画面やパソコンの初期画面に設定したり、モニターの横にメモを貼ったりする。
 あるいは、やる時間を決めて、アラームを設定しておく。
 そうやって、決めたことがいつも目に入るようにすれば、忘れることはありません。人に見られるのが恥ずかしければ、決めたことをイメージできる絵や写真、マークなどでもいいですよ。
 
 「憶念」とは、「常に覚えておくこと」ではありません。
 常に意識して、思いを心に置き直していくことです。
 心は無限のスペースをもっていますし、興味あることは何歳からでも始められます。また、心は何歳からでも置き直せます。
 心地よい自分でいる習慣をつくるために、あなたなりの工夫をしてみてください。

 

緑川 明世 (みどりかわ みょうせい)

作品紹介

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