愛されることに慣れることが、愛される一番の秘訣、とお話ししました。
　ここで陥りがちな落とし穴。
　それは、感謝を忘れてしまう、ということです。
「慣れる」とは、「当たり前になる」とも言い換えられます。そして、当たり前になるほど、人は、そのありがたみを忘れ、感謝しなくなってしまうのです。
　こうなったら、せっかく愛されることに慣れても、台なし!
　あなたは、愛されて当たり前の存在です。
　でも、その当たり前は、本当はとても貴重で、ありがたいこと。当たり前とは思っても、感謝を忘れてはいけないのです。
　こういう落とし穴は、人生のいたるところにあるので、気をつけなくてはいけません。

　望んでいた状況になったとたん、不平不満をこぼす、というのも同じです。
　学生のころは「早く働いて自由になりたい」と言っていたのに、社会に出たとたん、「会社員ってつまらない。学生は気楽でいいよね」なんて不平不満をこぼす。
　大好きな彼とつき合えることになったのに、数か月後には「～してくれない」と不平不満をこぼす。
　どれも、よくあることではないでしょうか。
　社会人としての自由があるのは、当たり前。彼がそばにいるのは、当たり前。
　その当たり前に慣れきってしまって、また別の状況、より上の状況を求め出してしまうのです。

　今、あなたの周りには、本当にいろいろな「当たり前」があるはずです。
　気づいてみれば、その１つひとつが、どれほど貴重でありがたいものか。ここで少し、振り返ってみてください。
　自分を変え、望む未来を手に入れたい。その気持ちは大切です。それでも、自分が今いる環境、そこで得ている恵みに目を向けないままでは、よりよく人生を変えていくことはできないでしょう。

　まずは、日常にちりばめられている「ありがたいポイント」に気づきましょう。そして、気持ちを、すべての「当たり前」への感謝にフォーカスしましょう。
「あぁ、白いご飯に納豆。幸せ♡」
「家族と一緒に夕食を食べられて、幸せ♡」
「彼の帰りは遅いけど一緒に寝られて安心、幸せ♡」
　こんな小さなことでも、その当たり前が、ありがたい。
　そう気づければ、一瞬で、大きな幸福感に包まれるはずです。
　そして、何より重要なことは、こうして瞬時に自分を幸福で満たせる人ほど、「影響美人」にもなっていきやすいということです。

（※この連載は、毎週木曜日・全8回掲載予定です。7回目の次回は6月22日掲載予定です。）

水原 ゆり (みずはら ゆり)