もう悩まない! 大きな結果が出る「ポジティブ脳」を 手に入れよう
茂木健一郎『もっと結果を出せる人になる!「ポジティブ脳」のつかい方』セレクション
みなさん、充実した毎日を過ごしていますか?
毎朝起きたとき、その日一日を楽しみに感じられているでしょうか。
絶不調? なんだかこのところ落ち込んでいる?
いや、大丈夫ですよ、そのままで。
「茂木さん、ずいぶん冷たいじゃないか!」なんて思われる方、いらっしゃるかもしれませんね。
けれども私はそうやって毎日を「好調」「不調」に左右されずに、平静な気持ち、
つまり脳が“フラット”な状態で過ごしています。
おかげで、やりたいことをやって、世界中の行きたいところにも行って、本当にスランプ知らずなんです。
いったいどうしたら、そんな脳のつかい方ができるのでしょうか?
その方法をご提案するのが本書です。
ところで、落ち込んでいる人、元気がない人への“定番アドバイス”に、次のようなものがあります。
「くよくよしないで、もっとポジティブに考えましょう!」
「もっと前向きに、元気出そうよ。次はきっとうまくいくはず!」
落ち込んでいるときに、誰かからこんなふうに励ましてもらった経験、みなさんにもありますよね。
これらの考え方は、前向きでポジティブなものに思えるかもしれません。
でもこれ、じつは本物の「ポジティブ」ではないことをご存知でしょうか?
たしかに、他人から親身になぐさめてもらったり、自己啓発書などでよくある“ポジティブ・アドバイス”を読んだりすると、いっとき心が元気になります。その瞬間は、ネガディブな気分をぬぐい去ってくれるかもしれません。
でも、再び現実の生活に戻ってみると、相変わらずのガッカリな状態。
「ポジティブに考えたってムダだよ。結局、何も解決していないじゃないか!」と、やるせない気持ちになった経験は多くの人が持っているものです。
じつはこれこそが、私たち日本人がおちいりがちな「ニセモノ・ポジティブ」の典型なのです。
「落ち込んだときや困ったときに、前向きに考えることの何が悪いの?」
そんな声も聞こえてきそうですね。ではなぜ、こうした“前向きな考え方”がニセモノ・ポジティブなのかをご説明しましょう。
なぜなら“前向きな考え方”とは、脳のエネルギーを消費して、行動するためのエネルギーを消耗させてしまいがちな存在だからです。
私たちの脳は日々、多くのエネルギーを消費しながら活動を続けていますが、脳活動のエネルギーには限りがあります。
無理やりに前向きな考え方や、非現実的ともいえるほど壮大な空想で脳を高揚させてばかりいると、脳が本来やるべきことにつかうエネルギーがどんどんなくなっていくのです。
キラキラした「素晴らしい考え」に取りつかれてしまうと、脳はパワーダウンしてしまい、「行動」にも「結果」にも結びつきません。
現代の日本社会には、このようにニセモノ・ポジティブで自分をたきつけて、頑張ることに疲れきって、自分の「今」にも「将来」にも希望を持てなくなってしまった人がたくさんいるのです。
たしかに悩みや不安に直面したとき、「ポジティブにならなくちゃ!」と自分をふるい立たせる人も多いことでしょう。でも、一時的にモヤモヤを回避しただけでは、あなたが本来持っている素晴らしい行動力は発揮されません。
そして、「あんなことをやりたい」「こうなったらいいな」というビジョンも実現されません。それではいったい、なんのための人生なのでしょうか?
私はみなさんに「ホンモノ・ポジティブ」体質になってほしいのです。
では下の表で「ホンモノ・ポジティブ」「ニセモノ・ポジティブ」の違いを具体的にご説明しましょう。
≪ニセモノ・ポジティブ≫
・根性論が好き
・評論家的な言動
・口ぐせに「たら」「れば」が多い
・いうことのスケールが、とにかく大きい
・結局、行動に移せていない
・「他人の評価」がとにかく大切!
・良い・悪い、高い・低いなど、「世間の基準」で判断する
≪ホンモノ・ポジティブ≫
・具体論が好き
・アスリート的な言動
・口ぐせに「なぜだろう」「してみよう」が多い
・いうことのスケールが等身大
・小さくてもいいから、実現性の高いことを目指す
・人と自分を必要以上に比較しない
・自分らしい「オリジナルの考え方」を持っている
もしも「ニセモノ」の項目に3つ以上当てはまるなら、あなたの脳はエネルギーをつかい果たして、元気がなくなっている状態かもしれません。
みなさんがこのニセモノ・ポジティブ状態から脱するためには、耐えて頑張るという「根性論=頑張りズム」を今すぐに手放し、自然体でラクに生きる「ポジティブ脳」を手に入れることが何よりも重要です。
それさえできれば、仕事でも勉強でも最高の結果を手にすることができるようになります。
その具体的な方法は次章より詳しくお伝えしていきますが、まずここで強調したいのは、「ポジティブ脳」を強化していくために、特別な才能は必要ない、性格の良し悪しなどは関係がない、ということです。
考え方をちょっと変えてみると、一瞬で「ポジティブ脳」に切り替わる――。これは、人間の脳が持つひとつの才能です。
茂木健一郎 (もぎ けんいちろう)
1962年東京生まれ。 東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程修了。 理学博士。脳科学者。
理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て現職はソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。 専門は脳科学、認知科学であり、「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究するとともに、文芸評論、美術評論にも取り組んでいる。
2005年、『脳と仮想』(新潮社)で第4回小林秀雄賞を受賞。 2009年、『今、ここからすべての場所へ』(筑摩書房)で第12回桑原武夫学芸賞を受賞。
主な著書として、『結果を出せる人になる!「 すぐやる脳」のつくり方』『もっと結果を出せる人になる! 「ポジティブ脳」のつかい方』(ともに学研プラス)、『人工知能に負けない脳』(日本実業出版社)、『金持ち脳と貧乏脳』(総合法令出版)などがある。
作品紹介
「フラットな脳」で自分らしく、楽しく生きると「大きな結果」がついてくる! 大ヒット作「すぐやる脳」に続くシリーズ第2弾!
定価:本体1,300円+税/学研プラス
バックナンバー
- 七百万回再生された 「ウェーイ!」
- 「自分」が正解になる世界を見つけよう②
- 「自分」が正解になる世界を見つけよう①
- 「好き」なことなら、 人間は本当に頑張れるのか?
- 本当にポジティブな人とは、 自然体の人
- その頑張りは エネルギーのムダづかいかも…
- なぜ、「ポジティブ脳」でなければいけないのか?