夜惚れても朝冷めるが、朝惚れたら夜は冷めない。

千田琢哉『人生の勝負は、朝で決まる。』セレクション

更新日 2020.07.30
公開日 2016.02.22
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私は経営コンサルタント時代、
夜の高級クラブが大好きな広告代理店の社長と仕事をしたことがある。
仕事が終わると必ずクラブに付き合わされたのだが、
今となっては水商売のビジネスモデルの勉強ができたと感謝している。
店内の薄暗い照明の中では、
女の子たちの誰もがドレスアップしていることもあって
最高の“いい女”に見える。
どんなに冴えない子でも最高に美人に見えるように、
極限まで計算し尽くされているのだ。
その事実に身を持って気づかされたのが、
その社長が入れ込んでいる女の子を勤務時間外に呼び出して会ったときのことだ。
そこで登場した彼女は店内で見るお姫様とは全く別人の、
ごく普通、いや、ハッキリ言ってダサい女の子に過ぎなかった。
その社長は私にも気遣って別の女の子をエスコートしてくれたのだが、
彼女もまた、店内にいたときの輝きは微塵も残っていなかった。
私は顔に出やすいから、きっと敏感な彼女たちにはそれがすぐ伝わったと思う。
この経験と自分の過去の経験を重ねて、私はあることを確信した。

夜惚れても朝冷めるが、
朝惚れたら夜は冷めないということだ。

プロジェクト終了後、何でも本音を話せる関係になって、
思い切って社長にそのことを打ち明けてみた。
さすがに社長は一枚上手だった。
「その通り! 
だから店内の余韻がギリギリ残っているとき、すぐに抱くんだ。
昼間に会っては絶対にいけないよ。並以下だからね」
恋愛でもこれと同じで、夜に口説く人は多いが、
夜に口説いても究極は一夜限りの関係で終わる。
最初から一夜限りの関係と割り切っているならそれもいいが、
そもそもそれは恋愛ではない。

もし本気で人を愛したいなら、
その人の夜にではなく、朝に惚れることだ。

相手の朝の表情に惚れるということは、
本当にその人のことが好きだということだ。
朝惚れた人と一緒に過ごす夜こそが、極上の夜なのだ。

 

千田 琢哉 (せんだ たくや)

文筆家。 愛知県犬山市生まれ、岐阜県各務原市育ち。 東北大学教育学部教育学科卒。 日系損害保険会社本部、大手経営コンサルティング会社勤務を経て独立。 コンサルティング会社では、多くの業種業界における大型プロジェクトのリーダーとして戦略策定からその実行支援に至るまで陣頭指揮を執る。 のべ3,300人のエグゼクティブと10,000人を超えるビジネスパーソンたちとの対話によって 得た事実とそこで培った知恵を活かし、 “タブーへの挑戦で、次代を創る”をミッションとして執筆活動を行っている。

■E-mail
info@senda-takuya.com

■ホームページ
http://www.senda-takuya.com/

作品紹介

人生の勝負は、朝で決まる。
「結果を出す人」が続けている52の朝の習慣

20代のカリスマ・千田琢哉が大手損保勤務、経営コンサルタント時代にビジネスエリート3300人から学び取った「朝の戦略」。
定価:本体1,200円+税/学研プラス

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