〝自分の土俵〟を探してあげる

和田秀樹『「勉強が得意な子」をつくるお母さんの戦略』セレクション

UPDATE 2020.07.31
公開日 2015.04.10

 練習して、上達して、勝つ。これはうれしい経験です。このサイクルを繰り返すことで達成感や満足感を味わい、努力ができる子どもへと成長します。
 それでは、もしもずっと負け続けて、子どもの自信がなくなってきたらどうしたらいいでしょうか。
 それは、「別の有利な競争を探してあげること」です。
 当たり前のことですが、競争を数多く経験すれば、負ける経験も味わうことになります。そんなときに「すべてのジャンルで勝たなければいけない」などと命じれば、早々に子どもは自信を喪失し、自分で自分の限界をつくってしまいます。そこに〝競争〟のメリットは生まれません。
 それよりも〝自分の土俵〟で勝ちを重ね、自信を深めることが重要なのですこれは大人の世界でも子どもの世界でも同じことです。
 私自身、子ども時代から体育は完全にあきらめていました。子どもながらに、「ここでは勝つ必要がない」と早い段階で考えたのです。勉強だって、全部オール5を目指す必要はありません。「これだけは絶対に負けない」というものを見つけ、まずはそこで自信をつければいいのです。
 もしかしたら「勉強ができるようになったわが子が〝天狗〟になり、周りの子を馬鹿にし始めるのでは」と心配するお母さんがいるかもしれません。
 しかし、それを恐れていては心の強い子どもにはなれません。私の考えとしては、「競争」を経験するうえで、ある程度はできない子を下に見る気持ちが生まれるのは仕方がないことだと思っています。
 そもそも発達の過程として、幼い子どもは友だちに残酷な言動をとったりするものです。けれどもそこに大人のような悪意は存在しません。大人へと成長していく過程で、思いやりや礼儀といった心は生まれてくるのです。ですから、小さいうちは「あまり威張っていると嫌われるよ」「言い方には気をつけなさい」などと、時機を見て教えていけばよいのです。

和田 秀樹 (わだ ひでき)
1960年大阪府生まれ。精神科医・教育評論家。東京大学医学部卒。国際医療福祉大学大学院教授(臨床心理学専攻)、一橋大学経済学部非常勤講師(医療経済学)。精神分析学(特に自己心理学)、集団精神療法学等を専門とする。受験アドバイザーとしても精力的に活動し、志望校別勉強法の通信教育・緑鐵受験指導ゼミナールを主宰。東京大学をはじめとする難関大学に挑戦する受験生を指導している。映画初監督作品『受験のシンデレラ』がモナコ国際映画祭最優秀作品賞を受賞するなど、文化面でも幅広く活躍中。

作品紹介

「勉強が得意な子」をつくるお母さんの戦略
小1スタートダッシュ・9歳の壁・中学受験 失敗しない48の方法

はじめての子が小学校に上がるお母さんに向け、受験の神様・和田秀樹先生が「失敗しない受験戦略」をコーチ。中学受験ママ必読!
定価:本体1,300円+税/学研プラス

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