入院すると、いやが応でも 人生を仕切り直せる。

千田琢哉『今日が、人生最後の日だったら。』セレクション

UPDATE 2020.07.31
公開日 2015.02.02

 経験者なら誰もが知っていることだが、入院すると確実にいいことが一つある。
 いやが応でも、人生を仕切り直せるということだ。
 どんなに忙しいビジネスマンでも、入院すれば仕事を中断しなければならない。
 どんなに忙しい主婦でも、入院すれば家事を中断しなければならない。
 日常を中断すると、今まで考えなかったようなことを考えるようになる。
 これまでの人生をゆったりと棚卸しできる。
 今まで悩んでいたことが、急にちっぽけに思えてくる。
 その証拠に、私の周囲には入院を機に会社を退職して、転職や独立をする人が多かった。
 退職しなくても、急に性格が前向きになって、イキイキとする人が多かった。

何か大きな決断をするためには、入院というのは絶好の機会なのだ。

 私自身も学生時代に入院したからこそ、人生が変わったと断言できる。
 それまで自分は健康だと自惚れていたから、死について真面目に考えたことなんて一度もなかった。
 ところが入院したら、いやが応でも死について考えざるを得なくなる。
「人は誰もが死ぬ」という事実を、机上の空論ではなく、腹の底から実感できるようになる。
 理屈で死を考える人は、現在の延長線上のどこか遠くに死があると考える。
 反対に腹の底から死を実感した人は、死から逆算して現在を捉えている。

腹の底から死を実感できた人は、時間の大切さが身に染みてわかるのだ。

 時間の大切さを知った人は、もう嫌なことを嫌々やるのはやめようと決断する。
 時間の大切さを知った人は、もう偽りの人生を送るのはやめようと決断する。
 時間の大切さを知った人は、人生の生き方が確実に変わるのだ。
 ひょっとしたら入院というのは、人生を好転させるチャンスを神様から与えられたのかもしれない。
 ダラダラと冴えない人生を歩んでいたり、本来の自分を活かせない場所で働いていたりした人が、人生を軌道修正させるために病気になるのかもしれない。
 もちろん、健康なのに無理に病気になる必要はない。
 健康は立派な才能だから、その才能を活かしてどんどん幸せになるべきだ。
 ただ、病弱であっても、人は必ず幸せになれるのだということを忘れないでほしい。

千田 琢哉 (せんだ たくや)

文筆家。 愛知県犬山市生まれ、岐阜県各務原市育ち。 東北大学教育学部教育学科卒。 日系損害保険会社本部、大手経営コンサルティング会社勤務を経て独立。 コンサルティング会社では、多くの業種業界における大型プロジェクトのリーダーとして戦略策定からその実行支援に至るまで陣頭指揮を執る。 のべ3,300人のエグゼクティブと10,000人を超えるビジネスパーソンたちとの対話によって 得た事実とそこで培った知恵を活かし、 “タブーへの挑戦で、次代を創る”をミッションとして執筆活動を行っている。

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