小学校時代の育て方が大切!

和田秀樹『心の強い男の子の育て方』セレクション

更新日 2020.07.31
公開日 2015.01.21
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 男の子が晩成型であるのは生物学的必然ですから、親としては、何も手を打たなくていいのかといったら、それはちがいます。ここは男の子育ての重要なポイントですので、しっかり理解してください。
 晩成型の男の子にとって、何がいちばんの問題なのかというと、子ども時代、とくに小学校時代に、自信を失ってしまうような経験をしやすいという点です。前回も述べたように、子ども時代は、あらゆる面で女の子がまさっています。男の子には、女の子に勝てない、かなわない、追いつけない場面が多く、加えて親や教師が適切なフォローをしなかったら……成長の場である学校や家庭が、自信喪失の場になってしまいます。
「男の子ならできて当たり前」という思い込みのある親としては、ついつい「なんでこの子はダメなんだ」、「この先もずっとできるようにならないのか」ときびしい見方をしてしまいがちです。日常生活においても、「男のくせに、どうして……」と子どもを責めてしまうことは、決して少なくないでしょう。
 それはできない男の子にしてみたら、劣等感を植えつけるための言葉かけでしかありません。親や先生からそんなことを言われたら、「どうせ自分はダメな子なんだ」と思っていじけてしまうのは、当然です。
 子ども時代、女の子に負けてしまうような男の子は、大人が思い描く理想の男の子像とはかけ離れているのかもしれませんが、それは男の子としての資質に欠けているからではありません。むしろ、それが男の子という、潜在能力を秘めた生き物の自然な姿なのです。
 そうであるならば、男の子には男の子に合った育て方があるはず。大人の一方的な価値観を押しつけて、これから伸びるであろう芽をつんでしまうことは、なんとしてでも避けたいものです。

和田 秀樹 (わだ ひでき)

1960年大阪府生まれ。精神科医・教育評論家。東京大学医学部卒。国際医療福祉大学大学院教授(臨床心理学専攻)、一橋大学経済学部非常勤講師(医療経済学)。精神分析学(特に自己心理学)、集団精神療法学等を専門とする。受験アドバイザーとしても精力的に活動し、志望校別勉強法の通信教育・緑鐵受験指導ゼミナールを主宰。東京大学をはじめとする難関大学に挑戦する受験生を指導している。映画初監督作品『受験のシンデレラ』がモナコ国際映画祭最優秀作品賞を受賞するなど、文化面でも幅広く活躍中。

 

作品紹介

10歳までに知っておきたい! 心の強い男の子の育て方

これからの世の中、男の子に求められるものは「優しさ」より「心の強さ」! どんな環境も生き抜く心の強い男の子を育てるコツ。
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