子ども時代、男の子が女の子に負けるのは当たり前

和田秀樹『心の強い男の子の育て方』セレクション

更新日 2020.07.31
公開日 2015.01.14
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 まず、いちばん最初に理解してほしいのは、人間の子ども時代というのは、男の子より女の子のほうが何事においても発達が早いということです。
 両性を比べると、どうしても男の子のほうが「成長が遅い」ため、何かにつけ、「男の子は手間がかかる」し、元女の子のお母さんが「男の子は幼い」と感じるのは、ある意味仕方がないことでもあります。
 たとえば、成長が遅いというなかには、コミュニケーション能力の発達も含まれますし、社会性の発達も含まれます。私には娘がいますが、女の子は総じて子どものころから、社会的順応力が高いということを実感します。
 こうなる背景には、もしかしたら女の子だからということで、お手伝いをよくさせるなどの、文化的役割分担の影響があるのかもしれません。女の子は、おうちのお手伝いをするにしても、整理整頓をするにしても、身支度を整えるにしても、素直にお母さんのまねをして、かなり上手にやってのけます。「自分でやりたい」、「お母さんは手を出さないで」と言って、新しいお手伝いにどんどんチャレンジしていくのは、圧倒的に女の子のほうが多いでしょう。
 会話でも、大人の話についてくるのは、女の子のほうです。幼いお兄ちゃんと妹がいるご家庭では、このちがいがとてもわかりやすいかたちで見られます。
 一緒にお手伝いをさせても、お兄ちゃんのほうが不器用で雑なうえにあきっぽいものです。何度やらせても変わりばえのしないお兄ちゃんにしびれをきらし、やがてお母さんはカーッとなるか、あきらめるか、お手伝いの機会そのものをとり上げてしまうということになりがちでしょう。
 でも、先に述べたように、男の子は成長が遅く、何でも最初は女の子にかなわないのが当たり前。「男の子ってそういう生き物なんだ」ということを、お母さんはまず素直に認めましょう。そこが、男の子育てのスタートラインなのです。

和田 秀樹 (わだ ひでき)

1960年大阪府生まれ。精神科医・教育評論家。東京大学医学部卒。国際医療福祉大学大学院教授(臨床心理学専攻)、一橋大学経済学部非常勤講師(医療経済学)。精神分析学(特に自己心理学)、集団精神療法学等を専門とする。受験アドバイザーとしても精力的に活動し、志望校別勉強法の通信教育・緑鐵受験指導ゼミナールを主宰。東京大学をはじめとする難関大学に挑戦する受験生を指導している。映画初監督作品『受験のシンデレラ』がモナコ国際映画祭最優秀作品賞を受賞するなど、文化面でも幅広く活躍中。

 

作品紹介

10歳までに知っておきたい! 心の強い男の子の育て方

これからの世の中、男の子に求められるものは「優しさ」より「心の強さ」! どんな環境も生き抜く心の強い男の子を育てるコツ。
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