「元気をいっぱいいただき、ありがとうございます」
こうお礼をいわれることがよくあります。
読者の方から。講演を聞いてくださった方から。歯の治療をした方から。治療をして患者さんからお礼をいわれる医師は少なくないでしょう。でも、私の場合は「元気をいただき、ありがとうございます」といっていただくのです。
理由をうかがうと、まず、私自身がいつでも元気いっぱいなこと。表情が明るく、言葉は前向き。なによりも、〝元気のオーラ〟とでもいうのか、〝元気〟があふれている。その元気が患者さんを満たしていく。それに対するお礼だとおっしゃいます。
先生が疲れた表情をしているのをみたことがない、ともよくいわれます。実際、私は「ああ、疲れた」と思うことがほとんどありません。
週のうち4〜5日は北海道の帯広で歯科医師として目いっぱい仕事をして、週の後半の2〜3日は東京を中心にセミナーや講演、出版の打ち合わせや取材を受ける……。そんなスケジュールをこなしていて、そういえば、今年をふりかえってみても、休みらしい休みをとったのは正月くらいです。
それでも私は「疲れたなあ」と思うことがほとんどありません。そればかりか、出会った方々に元気をお届けできる。
私はその理由を、仕事をしていることがとにかく「楽しい」の一語に尽きるからだと思っています。
歯科医の仕事、セミナー講師や本の著者としての仕事、そのどちらも100パーセント、一点の曇りもなく大好きで、仕事をしていることがいちばん楽しい時間なのです。
もっとも人を突き動かすもの、それは、その仕事が「好きだから」という思いでしょう。
とにかくこの仕事が大好き。そんな仕事をしていると楽しくて、楽しくて、まるで自分がエネルギーの源泉になったように、元気がどんどん湧いてきます。
いまやっていることが楽しくてしかたない。
仕事という意識はまったくない
ジェリー・ヤン(1968〜)実業家
現在、世界中で利用されているインターネットの検索サイト「Yahoo!」の創業者のひとり、ジェリー・ヤンはこういっています。
楽しくてたまらないという気持ちで仕事をしていれば、毎日は自然に生きる価値に満ちたものになっていくのです。
◎「思いつきレベル」で始めた大事業
ヤンは、スタンフォード大学時代の友人デヴィッド・ファイルとインターネットのとりこになり、はじめはあちこちのサイトをのぞくのをただ楽しんでいました。
当時は、ほしい情報を探しあてるには次々ネットを渡り歩きながら探さなければならず、面倒だと思った二人は、アドレスを集めて分類・整理。カテゴリーごとに分類した〝電話帳〟のような検索サイトを思いつきます。
これが「Yahoo!」のはじまりでした。はじめは、大学内で人気が出、やがて、評判は大学の外にも広がっていきます。といっても、当時はその思いつきが、世界中で使われる検索サイトに発展するなどとは考えたこともなかったでしょう。
ヤン自身、「最初のうちは、どうやって利益を得ればいいのか、はっきりわかっていませんでした」といっています。もしもヤンたちが利益を第一の目的に開発をはじめていれば、ここまでの評判は得られなかったでしょう。
楽しいから、とにかく好きだから。物事のはじまりは、こうしたシンプルな動機でいいのです。
人生の転機は、いつも「好き」からはじまるものです。
検索ソフトをお金の入るシステムへとビジネス化するアイディアは、サイトに広告を掲載することを思いついたことから。これをきっかけに、とにかくネットの世界が楽しくて仕方がない二人は、ビジネスマンへの道を歩み出します。
「Yahoo!」の大成功によってヤンたちはものすごい富豪になりましたが、いまもその素顔はコンピュータ・オタクのままだそうです。
井上 裕之 (いのうえ ひろゆき)
歯学博士、経営学博士、コーチ、セラピスト、経営コンサルタント、医療法人社団いのうえ歯科医院 理事長。
島根大学医学部 臨床教授、東京歯科大学 非常勤講師、北海道医療大学 非常勤講師、ブカレスト大学医学部 客員講師、インディアナ大学歯学部 客員講師、ニューヨーク大学歯学部 インプラントプログラムリーダー、ICOI国際インプラント学会指導医、日本コンサルタント協会 認定パートナーコンサルタント。世界初のジョセフ・マーフィートラスト公認グランドマスター。
1963年、北海道生まれ、東京歯科大学大学院修了。歯科医師として世界レベルの治療を提供するために、ニューヨーク大学をはじめ、ハーバード大学、ペンシルバニア大学、イエテボリ大学など海外で世界レベルの技術を取得。 6万人以上のカウンセリング経験を生かした、患者との細やかな対話を重視する治療方針も国内外で広く支持されている。
また、医療に関することだけでなく、世界中のさまざまな自己啓発、経営プログラム、能力開発などを学びつづける。成功法則の権威ジョセフ・マーフィー博士による「潜在意識」と経営学の権威ピーター・ドラッカー博士による「ミッション」を総合させた「ライフコンパス」を提唱。
現在はセミナー講師としても全国を飛び回り、会場は常に満員。2012年8月に東京・日本青年館で1,000名の講演を実現し、2014年には日比谷公会堂で1,200名を超える伝説のセミナーを成功させている。
作品紹介
何のために働くのか。目標に向かい生きる充実した日々は、どうすれば手に入るのか――。人生の答えを求めて毎日を真剣に生きる人々に向け、歯科医師でありセラピストである著者・井上裕之が贈る渾身のメッセージ、そして「自分の価値観」を磨くためのヒント。
定価:1,300円+税/学研プラス
バックナンバー
- もっと、 わがままに生きていい
- 全人的に、 相手と向かい合う
- 「いいお金の使い方」を 心がける
- 勇気をもって 「NO」という
- 人生の「パワーパートナー」を持つ
- 完全にわかり合えるとは期待しない
- 「見える資産」と「見えない資産」
- 「常識」を捨てた瞬間、答えが現れる