これまで数多くの偉人伝を読んできたが、ある共通点があった。
それは、最終的に勝者として輝く人は、最初は失敗していたという事実だった。
しかも、かなりの大失敗だ。
私はこの「セオリー」を、演繹的に、現代のリアル社会に一つずつ当てはめてみた。
すると、リアル社会においても、ほぼ当てはまるということが確認できた。
またその逆に、
ビギナーズラック、つまり初めて経験したのに結果が出てしまった者は、
ほとんどがその後、その道で成功できていなかった。
それどころか、ビギナーズラック経験者たちは、
噓のように惨めな人生を送っている人も少なくない。
こう考えると、人生というのは、どこかギャンブルに似ているように感じる。
私は経営者たちの生き様を目の当たりにし、
それらを1次情報として確認するたび、偉人伝に書いてあった内容は脚色などではなく、
現実そのものだと興奮したものだ。
私自身の人生を振り返っても、確かに、最終的に成功したことは最初に大敗していた。
たとえば私は学生時代、本の執筆に挑戦してみたが、
タイトルと自分の名前以外は、何も書くことができなかった。
読むことと書くことには、これほどまでに乖離があるのかと萎えてしまったが、
それでもその時点で、
「10年ほどサラリーマンを経験すれば、確実に書けるようになる」
という、根拠のない自信があった。
その後に私は文筆家となり、そんな大雑把な確信を実現できたわけだが、社会人になってからも、同じように「大雑把な確信→実現」の繰り返しだった。
揺るぎなく、なおかつ、根拠のない自信さえ持っていれば、最初の失敗は結局、勝利に繫がることが多かったのだ。
だから私は、最初でつまずいた挑戦者には、自信を持って常にこう伝えてきた。
「最終的な勝者は、最初は失敗するものですよ」
(※この連載は、毎週月曜日・全8回掲載予定です。次回は4月30日掲載予定です。)
千田 琢哉 (せんだ たくや)
文筆家。 愛知県犬山市生まれ、岐阜県各務原市育ち。 東北大学教育学部教育学科卒。 日系損害保険会社本部、大手経営コンサルティング会社勤務を経て独立。 コンサルティング会社では、多くの業種業界における大型プロジェクトのリーダーとして戦略策定からその実行支援に至るまで陣頭指揮を執る。 のべ3,300人のエグゼクティブと10,000人を超えるビジネスパーソンたちとの対話によって 得た事実とそこで培った知恵を活かし、 “タブーへの挑戦で、次代を創る”をミッションとして執筆活動を行っている。
■E-mail
info@senda-takuya.com
■ホームページ
http://www.senda-takuya.com/
作品紹介
著者・千田琢哉が経営コンサルタント時代に経営者たちと正面から向き合い、本気で投げかけた、真剣勝負の言葉の数々を紹介する。
定価:本体1,300円+税/学研プラス
バックナンバー
- 本物の幸運の持ち主は、必ずどん底から這い上がります。
- 勝率の高さは問題ではなく、勝つべき時に勝てばいいのです。
- 部下が軽蔑するのは、間違えるリーダーではなく、決断しないリーダーです。
- 斜陽業界は、逆にチャンスですよ。
- ストップの合図は私がします。それまで存分に突き進んでください。
- 最後の泥沼までお付き合いします。
- 経営者の心を揺さぶる“本気の言葉”
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