ある友人の話です。
　彼女と知り合ったばかりのころは、見るからにカッコよく、内面も強そうな印象をもちました。
　でも、いろいろと深い話をしているうちに、見た目の強さとはギャップがあることに気づきました。じつは情に厚くて涙もろい、すぐに感情が高まって涙をこぼしてしまうような、かわいらしい人でした。
　そんな彼女が、ふと、こんな本音をもらしたことがありました。
　過去に「愛されてきた」経験がない、というのです。そのため「愛される」ことに不慣れで、抵抗があるようでした。
　たしかに、「もらったら、すぐ何かを返さなくちゃ」「迷惑かけてごめんね」「心配かけてごめんね」などと、よく口に出す人でした。愛される経験がなかったために、不器用で、人から愛を受け取ることが下手だったのです。
　そんな彼女の話を聞いていて、これから、素直に愛を受け取れるようになる方法は、ただ１つだと思いました。
　それは、愛されることに慣れること。
　自分は愛されているし、愛されるにふさわしいんだと、いわば自己暗示をかけていくことです。
　こうして愛されることに慣れたとき、人からの優しさや愛情を素直に受け取れるようになります。そして、自分を素直に愛し、人のことも素直に愛せるようになるのです。

　あなたは、人の愛情を素直に受け取ることができていますか？
　人を愛すること、思いやりや心配りを受け取ってもらうのは、とてもうれしいものです。あなたを愛してくれる人も、そうすることがうれしいから、あなたに愛を与えようとするのです。
　だから、人から愛を受け取ることを申しわけなく思う必要なんて、ありません。疑う必要も、ためらう必要もありません。
「ありがとう♡」と、ただ素直に受け取ればいい。
　それだけで、もっともっと、愛されるようになります。受け取ってもらえたら、もっと与えたくなるのが、人間というものだからです。

　ありのままの自分で、愛されることに慣れよう。
　無理にがんばらなくても、すでに愛されているのだから。

（※この連載は、毎週木曜日・全8回掲載予定です。6回目の次回は6月15日掲載予定です。）

水原 ゆり (みずはら ゆり)