「2020年、小学校のプログラミング教育が必修化」こうした情報を目にすると、学校教育がどのように変わるのか気になりますよね。ここでは、その背景などを交えながら、必修化に向けて知っておくべきポイントや、いまからご家庭でできることについて紹介します。
小学校のプログラミング教育が始まる前におさえておきたい3つのこと
すでにプログラミング教室や教材がたくさん登場している中、わが子にもそろそろ勉強させておく必要があるのでは?と焦りを覚えるご家庭があるかもしれません。まずは現状を知り、ポイントを確認しましょう。
1.プログラミングという教科ができるの?
プログラミングという教科ができるわけではなく、例えば、算数、理科、総合的な学習といった教科の中で、プログラミングを体験しながら論理的思考力を身につける学習を行います。
2.プログラミングはどんな方法で学ぶの?
各学校の方針によって異なりますが、パソコンやタブレットなどのコンピュータを使う方法や、コンピュータを使わずにカードなどの教材を使ってコンピュータのしくみやプログラミングの考え方を学ぶ方法があります。
一例として、民間のプログラミング教室などでの教材をご紹介します。
・スクラッチ
難しい知識や操作は不要で、パソコンのマウス操作だけでプログラミングができる学習環境。一つ一つの命令をブロックのように組み合わせることで、キャラクターを思い通りに動かしたりすることができます。初心者でも取り組みやすい教材として、世界中で親しまれています。
・ゲーム&アプリのプログラミング
スマートフォンやタブレットで楽しめるゲームやアプリを作ります。前述のスクラッチや専用のアプリ開発ソフトを用います。
・ロボットプログラミング
モーターやセンサー、歯車などを使ってロボットを作りながら、そのしくみについて学びます。また、作り上げたロボットを実際にプログラミングで動かすことも行います。
3.プログラミングを学ぶと子どもにどんな力がつくの?
次のような力を育むことを目指しています。
・物事を順序立てて考えたり、説明したりする力=論理的思考力
・コンピュータが意図しない動きをしたとき、その原因を探し、改善策を考える力=問題解決力
・わからないことが出てきたときに自分から進んで調べる力=探求心
・できたときの達成感の積み重ね=自己肯定感
プログラミング教育が小学校の授業に導入される理由
いまやITは私たちの生活に必要不可欠。さらに自動運転車や人工知能、ロボットなど新しいプログラミング技術が続々と登場する中、お子さま方が社会人になったときには、より高度なIT力が求められることが予想されています。そのため、早い段階からプログラミングの原理に触れ、慣れることで、国を挙げて次の時代に必要なスキルを育てようとしているのです。
プログラミング教育に向けて、ご家庭でできること
プログラミング教育の目的は、プログラムを作るための特別な技術や知識の習得ではありません。物事を順序立てて考え説明する「論理的思考力」や、わからないことに自分から進んで調べる力「探求心」を育成することが目的です。この力は、お子さまとの日常会話の中で少しずつ積み重ねていくことができます。
身近な例を挙げれば、テレビのリモコンを使って取り組むことができます。テレビに向けてリモコンのボタンを押すとチャンネルが変わりますが、逆にどんなときには変わらないでしょうか?
リモコンのボタンを押してもチャンネルが変わらない理由を、クイズ形式でお子さまに答えを考えてもらいましょう。なぜその状態ではチャンネルが変わらないのか。「なぜだと思う? どうしてだろうね?」と促しながら、まずは不思議だと感じることを話し合ってみましょう。
そして、しくみを知りたいという興味が出てきたら、お子さまと一緒に調べたり考えたりしてみましょう。
「そうなんだ!」という反応が見えたならばしめたもの。ハイタッチをしてお互いの頑張りをたたえ合いましょう。そのようなコミュニケーションをお子さまと楽しみながら、プログラミング的な思考の練習を始めてはいかがでしょうか。
【執筆者紹介】:特定非営利活動法人日本ITイノベーション協会
平成16年1月に内閣府からの認証を得て以来、「Instructional Technology(教育的技術)」を旨とし、国際的人材育成指標である「経済協力開発機構(OECD)」が提唱する各種コンピテンシーをベースに人材育成の基軸を設定。国や各自治体・各大学・各企業が制定している個別指標と紐付けてカスタマイズし、実用可能な教育プログラムの開発を手掛ける。国の教育指針である「生きる力」とは、自分で問題発見を行い、周囲を巻き込み問題解決していく力であると捉え、「社会に出て、社会を築く人材」を輩出するための教育プログラムの開発を行い、小学生~高校生の教育にも力を入れている。
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※このコラムは、「ガッケン!ハッケン!学研ゼミ 保護者のよみもの ハッケン!みっけ!」に掲載されていたものです。
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