お金が消える人は「まず勉強」から始めるが
お金が増える人は「まず行動」に移す
「キャリアアップしよう」。そう考えたとき、何から手をつけるか。
○○に関するテキストを用意し、机に向かい、繰り返し読み込み、演習問題を解いて……。そうイメージした人は、お金が増えない人だ。
なぜか。
知識を覚え、正解を答える勉強では、もはや通用しない時代だからだ。
いつも私が繰り返し主張している内容なので、もはや「耳タコ」かもしれない。
しかし今でも交流会や勉強会に呼ばれて行ってみると、勉強熱心だが「食えない」士業の人によく遭遇するため、警鐘を鳴らす意味で再度書いておきたい。
「まず勉強」では、これからの時代、お金が増える可能性は低い。
そもそも情報の多くは、検索すれば手に入る。
わざわざ暗記しなくても、リアルビジネスではカンニングしても問題ない。それに「記憶」と「検索」という行為は、コンピュータのほうが速くて正確だ。
作業についても、データ処理、たとえば企業会計や人事・法務は、ソフトウエアで代替できるようになっている。
人の手が必要なものも、誰でもできる単純な仕事なら、人件費の安い海外人材へと置き換わっている。
覚えなければならないものは減り、ルーチンでできることは海外に移転し、私たちがやるべきことは減っている。もちろん好きならやればいいのだが、単価は安いし、労働力も買い叩かれる可能性が高い。
もう一つ、「まず勉強」が役に立たない理由として、ビジネスには設問も正解もない点が挙げられる。
かつての商売の基本は、欲しいものを欲しい人へと渡すことだった。だから人々が「欲しい」と言うものをただ作ればよかった。
つまり、あらかじめ「設問」と「正解」があり、場合によっては「選択肢」も用意されていた。正しい答えを出せば合格だから、確かにそうしたスキルが重視された時代もあったのだろう。
しかし現代日本のような成熟したマーケットでは、人は欲しいものを意識していない。商品が出て初めて、「そうそう、それが欲しかった!」と気づく。
そのため、誰も欲しいと認識していないけれども、欲しいと思わせる商品を提案しなければ、ビジネスの世界で生き残るのは難しくなっている。
よくいわれていることではあるが、ソニーのウォークマン、アップルのiPodやiPhoneがヒットしたのも、新しいライフスタイルを提案し、市場を創造したからだ。
私たちがキャリアアップを目指すのは、もっと自由に楽しく稼げるようになるためのはず。
しかしそういった仕事は、高額所得者のアウトプットや成果物を見れば明らかなように、困難な問題を解決する仕事、新しいものを創造する仕事に収斂されてきている。
ビジネスの現場で求められているのは、設問のない世界に自ら課題を設定し、誰も答えを知らないその課題を、やはり自らの頭脳を駆使して解決すること。
そうして新しいモノ・コトを提案すること。人の感性に訴えかける商品・サービスを創ること。
つまり付加価値を創造するための勉強に、シフトする必要がある。
では、どうすればいいか。
入り口は検索でも読書でもいいが、「まず体験」することだ。実際に頭と体を動かしてマスターする方法が、最も効果が高い。
コピーライティングを学びたいなら、実際の商品に自分でコピーをつけてみる。起業を学びたいなら、自分の得意な分野でコンサルタントを名乗り、それに値段をつけて営業してみる。パーソナルブランディングを学びたいなら、ブログと個人の名刺を作り、情報発信を始めてみる。
そのためにはまず方法を知る必要があるから、その点ではテキストを読んだり講義を受けることは有効かもしれない。ただしノウハウを学んだら、すぐに実践に移ることだ。
営業術を学んだら、すぐにロールプレイング練習をし、次の日から早速応用する。新しい英語表現を学んだら、口に出して繰り返し、スカイプの英会話レッスンで使ってみる。プログラミングを学んだら、実際にオリジナルのプログラムを作ってみる。
体の動きと直結させる学習によって、学んだノウハウが、リアルに現場で通用する能力となる。
ビジネスパーソンにとって、勉強とは体で習得することだ。実戦経験を積み重ねる中で、成果を出す力が獲得できるのだから。
午堂 登紀雄 (ごどう ときお)
1971年岡山県生まれ。米国公認会計士。中央大学経済学部卒業後、会計事務所、大手流通企業のマーケティング部門を経て、世界的な戦略系経営コンサルティングファームのアーサー・D・リトルで経営コンサルタントとして活躍。2006年、著書『33歳で資産3億円をつくった私の方法』(三笠書房)がベストセラーとなる。同年、不動産投資コンサルティングを行う株式会社プレミアム・インベストメント&パートナーズを設立。経営者兼個人投資家としての活動のほか、出版や講演も多数行っている。『お金の才能』(かんき出版)、『頭のいいお金の使い方』(日本実業出版)、『オキテ破りのFX投資で月50万円稼ぐ!』(ダイヤモンド社)、『日本脱出』(あさ出版)ほか著書多数。
作品紹介
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