怒られている人が逆ギレするのは、許してもらおうとするからです。
そこで一番必要なのは、解決するための工夫、前へ進むための工夫です。
謝ることではないのです。
許してもらおうとする姿勢が、すでに受け身になっています。
怒っている相手に対して受け身になると、自分の中に怒りがこみ上げてきます。
許してもらおうとするのではなく、工夫して前へ前へ進んでいけばいいのです。
信用を落としたなら、もう一度信用をつくることを考えます。
言いわけをいくらしても、相手をよけい怒らせるだけです。
「自分を守ろうとしている」と思われるからです。
言いわけをしている限り、前のことがよみがえり続けます。
頭の中でムカッとすることを再生するよりは、「新しく信頼をつくる」「ゼロからスタートする」というスタンスが大切です。
前を取り返そうとすると、さらにマイナスを増やしていくことになります。
ゼロに戻る覚悟のある人は、怒りません。
もう一度ゼロに戻って、新たにやっていこうと考えられるのです。
仕事は、思いどおりいくことのほうが、まれです。
仕事は、皿まわしと同じです。
1枚だけまわせばいいというものではありません。
何枚まわせるかが、本人の力量です。
けん玉でむずかしい技にトライするのも同じです。
自分に負荷をかけることを、楽しむのです。
ジムへ行って、軽いバーベルをいくら挙げても楽しくありません。
前まで挙げられなかったものを挙げられるように、負荷をかけていきます。
より困る状況を自分がつくることで、解決能力が身につくのです。
フルマラソンに出ている人は、誰もがタイムを縮めるために頑張っています。
タイムを長くしようとか、もっとラクしようと考える人はいないのです。
「思いどおりいかないことをどこまで踏ん張って持っていけるか」というのが、「仕事をする」ということです。
思いどおりいったら、その人は仕事をしていないのです。
仕事のエネルギーは、なるべくとっておきます。
怒ることにエネルギーを使うのは、最もロスが大きくなります。
もともと怒りっぽい人と怒りっぽくない人がいるのではありません。
怒ることでムダなエネルギーを使う人は、燃費の悪いクルマと同じです。
ハイブリッドカーは、スピードが速いうちはガソリンで走って、スピードが落ちてくると電気に切りかわります。
これと同じです。
怒り始めた時に、「工夫」というモードにスイッチをパッと切りかえます。
意識せずに切りかえられるようになることで、怒りによるエネルギーロスがなくなるのです。
中谷 彰宏 (なかたに あきひろ)
1959年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科卒業。84年、博報堂に入社。CMプランナーとして、テレビ、ラジオCMの企画、演出をする。91年、独立し、株式会社中谷彰宏事務所を設立。ビジネス書から恋愛エッセイ、小説まで、多岐にわたるジャンルで、数多くのロングセラー、ベストセラーを送り出す。「中谷塾」を主宰し、全国で講演・ワークショップ活動を行っている。
■中谷彰宏公式ホームページ
http://an-web.com/
作品紹介
怒らない人は、仕事でも、恋愛でも、人間関係でも、チャンスをつかむ。怒りをコントロールし、品格を高める61の方法を紹介。
定価:本体1300円+税/学研プラス
バックナンバー
- 怒っているのは、 困っているのだと自覚する。
- 自分を許せない人は、 相手も許せない。
- 1分以上の怒りは、 ムダなエネルギーの消耗。
- イラッとしたところに、ヒットのチャンスがある。
- 変えられないことを変えようとすると、怒りになる。
- 怒りは損だということを、知る。
- 怒ることは、悪くない。怒り続けることが、よくないだけだ。
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