「好きなこと」を積み重ねると、 「自分だけの花」が咲きます (宇野信行)
斎藤一人・宇野信行『斎藤一人 成功の花を咲かせなさい』セレクション
一人さんという人を知れば知るほど、私の中にある思いが募ってきました。
「一人さんになりたい」
スターにあこがれる思春期の少年のようですが、私は大真面目でした。
それで、あるとき一人さん本人に尋ねてみたんです。
「一人さんみたいになりたいんですけど、どうすればなれますか?」
一人さんは、私の目をじっと見て、「信ちゃん、ちょっと聞いて」と言いました。
「1人ひとり、『自分の花』があるから、信ちゃんは私にはなれないよ。
私だって、信ちゃんにはなれないの。
1人ひとりが『自分の花』を咲かせればいいんだよ。
信ちゃんは信ちゃんの花を咲かせれば、信ちゃんが、私よりずっと幸せになることだってできるんだ」
「うーん……。では、その花を咲かせるために、私はなにをすればいいんですか?」
「今日、なにを食べたい?」
唐突な一人さんの質問に面食らいつつ、私は「カレーライス」と答えました。
すると、一人さんは、「私は牛丼が食べたい。ほら、違うだろ。互いに自分の好きなものを言ったんだよな。自分の花は、『好きなこと』を積み重ねていくと咲くんだよ」って言うんです。
「そんなことでいいんですか?」
「それが大きな1歩なんだよ。どんな花が咲くかは、お楽しみだね。
いま好きなこと、いま好きなもの、それを1つひとつ味わっているうちに、ちゃんと自分の花がわかってくるんだ。
今日はカレーライス、明日はそば。今日はドライブ、明日は読書。その1歩1歩が、大輪の花につながっていくの」
一人さんが話すのを聞いて、私はとっても気持ちがラクになりました。
「好きなことをしていればいいんだ!」って、妙に気楽になっちゃったんです。
一人さんみたいなすごい人は、きっと私が想像もつかない大きな努力をしたり、犠牲を払ったりしてきたんじゃないかって、どこかで思い込んでいたんですね。
人は一生をかけて、「好きなこと」でつぼみをふくらませ、花を咲かせていきます。
あの日から、私は、ずっと好きなことをして、自分の花を育て続けています。これは死ぬ瞬間まで続く、とても楽しい修行なんです。
そうはいっても、人は、好きなこと「だけ」をして生きていくことはできません。
以前、講演会に来てくれた若い男性がこんなことをおっしゃいました。
「僕は、好きなことだけをして生きていきたいんです」
だから、ポリシーに反する仕事や人づき合いはしないと言うのです。
一見、かっこいいですよね。でも、「好きなことしかしない」姿勢のままでは、いずれ、その「好きなこと」も、うまくいかなくなってしまいます。
なぜなら、自分のやりたいことしかしない人は、神様からも、周りの人からも応援をされなくなって、自力と他力が尽きてしまうからです。
もっというと、「自分が本当に好きなこと」をやるためなら、ほかのことだって苦痛でなくなってしまうものなんですね。
心から野球が好きで、本気で甲子園を目指している高校球児たちは、「ランニングや基礎運動はイヤだ」なんて言いません。本当に好きだと思うことに対しては、「好きなことができるのなら、ほかのこともお安い御用です」と思えるものなんですね。
当時の私がいちばん好きだったのは、「一人さんに会うこと」。
一人さんに会えるのなら、徹夜明けの仕事も、全8巻の『坂の上の雲』(司馬遼太郎)を3回繰り返して読むことも、楽しくて仕方ありませんでした。
そんな「好きなもののためなら、ほかのことも苦もなくできるようになる」という話を「十夢想家」でしていたときのことです。
「人って、『揺るぎない愛』のためにがんばるんだよ。
私は昔っから女性が大好きで、嫌いになったことがただの1度もない。これが、『揺るぎない愛』だね」
一人さんがすました顔で言うので、私は吹き出してしまいました。
「女性とおいしいものを食べて、いい車でドライブするためにはお金がいるよね。
だから、仕事をますますがんばれる。
まず、『自分の好きなことをするためにはなにがいる?』って考えて、そのために働こうって思ううちに、だんだんそれがごちゃまぜになっていって、仕事や人生まで楽しくなってきちゃうんだね。
そう考えると、いちばん好きなものって、お金がかかるものがいいだろうな。
男性にとって女性というものは、いちばん好きで、この世でいちばんお金がかかるものだろ?(笑)
つまりさ、なにが言いたいかっていうと、一人さんも好きなもののためにがんばってるんだから、信ちゃんも一緒にがんばろうね、ってこと」
一人さんと私の好きなものはそれぞれで、嫌いなものもそれぞれだけれど、だからこそ、一人さんに褒めてもらえるような「自分だけの花」を咲かせることができるんだと、私は深く納得できました。
「人は人、自分は自分」
これがわからないと、自分の花は咲きません。
この言葉だけをぱっと見ると、ときに冷たく感じることもあります。
その理由は、子どものころ、おねだりを却下するお母さんから言われた「うちはうち、よそはよそ!」という言葉の悲しい記憶が残っているからかもしれません(笑)。
でも、じつは少しも冷たくないんです。
すべての人の個性を認めて、自分の個性を押しつけないための言葉なんですよね。
私の願いは、「一人さんになりたい」から、「一人さんみたいに、幸せになりたい」に変化しました。
(宇野信行)
(※この連載は、毎週火曜日・全8回掲載予定です。次回は、11月28日掲載予定です。)
斎藤 一人 (さいとう ひとり)
実業家。「銀座まるかん」(日本漢方研究所)創業者。1993年以来、12年連続で全国高額納税者番付(総合)10位以内にただ1人ランクインし、2003年には、累計納税額で日本一になる。
土地売却や株式公開などによる高額納税者が多い中、納税額がすべて事業所得によるものという異色の存在として注目される。著書多数。近著に『神様に喜ばれる人とお金のレッスン』(高津りえ共著)、『斎藤一人 大開運 人生を楽しむ仕組み』(千葉純一共著/以上学研)、『斎藤一人 品をあげる人がやっていること』(高津りえ共著)、『お金の真理』(以上サンマーク出版)、『絶対、よくなる!』(PHP研究所)などがある。
■さいとうひとり公式ブログ
http://saitou-hitori.jugem.jp/
宇野 信行 (うの のぶゆき)
1961年、東京都江戸川区平井生まれ。家業の豆腐店で仕事をしていたおりに、伝説の喫茶店「十夢想家(トムソーヤ)」で斎藤一人氏と出会い、弟子入りする。斎藤一人氏から精神的・実践的な成功法則を学び、滋賀県で実業家として成功を収める。銀座まるかん宇野隊代表。著書に、『斎藤一人 黄金の鎖』(KKロングセラーズ)、『斎藤一人 大切な教え』(PHP研究所)がある。
■のぶちゃんの絵日記
https://ameblo.jp/nobuyuki4499/
作品紹介
“豆腐屋の信ちゃん”が一人さんと出会い、成功法則を学んだことで、「自分の花」を咲かせ、大成功した秘密を明らかにする。
定価:本体1,400円+税/学研プラス
バックナンバー
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