暮らしの道具は自分で作る。生木の木工「グリーンウッドワーク」

『グリーンウッドワーク 生木で暮らしの道具を作る』

更新日 2019.09.04
公開日 2019.08.30
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フェスのチケットは即完売。欧米では木のスプーン作りが大人気に

 グリーンウッドワークは欧米発祥で、身近な森や林で伐ったばかりの乾燥していない生木を、手道具で割ったり削ったりして暮らしの道具を作る木工の名称です。
 そのグリーンウッドワークが、今、世界的に人気になりつつあります。2018年にイギリスで開催された、参加者全員で木のスプーンを手作りするイベント「スプーンフェス」は、参加チケットが発売数時間で売り切れ、ヨーロッパ各国はもちろん、はるばるアメリカや中東からの参加者もいました。

 本書は、そんなグリーンウッドワークの材料、道具、基本テクニック、さまざまな暮らしの道具の作り方を詳細に解説する、日本初の本格的なガイドブックになります。

電動工具を使うより、安価で手軽に始められるDIY向きの木工

 現代の木工・DIY・日曜大工は、ホームセンターや木材店で、製材された乾燥済の木材を買い、電動工具や工作機械を使って作品を作るのが一般的です。

 電動工具に頼らず、ナイフや斧、ノコギリ、ノミ(鑿)などの手道具を使うグリーンウッドワークは、一見、ハードルが高そうに思えますが、高速で刃が回転する機械を使わないぶん、むしろ安全で、環境への負荷も低いと言えます。初期費用も電動工具や工作機械に比べれば安価に揃えられるので、手軽に始めることができ、DIY向きの木工です。
 また、乾燥していない生木は、乾燥材に比べやわらかく加工しやすいのが特徴で、ナイフで簡単に削ることができます。生木は、作った後に徐々に乾燥し縮んでいくので、使い込んで手になじませていく楽しみもあります。

 グリーンウッドワークで作るものはスプーンや箸などの、日々使う暮らしの道具が中心なので、生木といっても太い丸太は必要ありません。庭の手入れで切った木でも材料にできます。また、本書では簡単に生木を入手できない方のために、調達するアイデアも紹介しています。

暮らしの道具は自分で作る。昔の当たり前を現代的に実践するのがグリーンウッドワーク

 本書で作り方を紹介している暮らしの道具は、スプーン、箸、箸箱、豆皿、スパイスボトル、子ども用の椅子などです。
 また、古くから石川県で作られてきた、クリの生木で作るお盆「我谷盆(わがたぼん)」も“日本伝統のグリーンウッドワーク”として、その歴史を紹介し作り方を掲載しています。
 我谷盆のように、昔の人は必要に応じて身近にある木を伐って材料とし、暮らしの道具を作っていたはずです。グリーンウッドワークは、途絶えかかっていた古来の木工に現代的なエッセンスを加えた「古くて新しい木工」とも言えます。

 そんな、エコで安全で手軽なグリーンウッドワークを、日本における第一人者がわかりやすく丁寧にガイドしているのが本書です。
 ぜひ、本書をきっかけにグリーンウッドワークを始めてみてください。

おもな内容

■イントロダクション
① グリーンウッドワークに使う道具
② グリーンウッドワークに使う材料
■グリーンウッドワークの基本
① 伐る技術
② 割る技術
③ 斧の技術
④ ナイフの技術
■日用品を作る
① 箸
② スプーン
[Special topic]
イギリスのスプーンフェスから日本のさじフェスへ
~世界に広がるグリーンウッドワーク・ムーブメント
■日用品を作る
③ 豆皿
④ 箸箱
⑤ スパイスボトル
■グリーンウッドワークの基本
⑤ センと削り馬の技術
[Special topic]
「我谷盆(わがたぼん)」~日本伝統のグリーンウッドワークを訪ねる
■日用品を作る
⑥ 我谷盆(わがたぼん)
⑦ 子どもスツールと子ども椅子
■グリーンウッドワークの基本
⑥ 塗る技術
⑦ 研ぐ技術
[巻末資料]グリーンウッドワーク情報集

著者

 久津輪 雅(くつわ・まさし)
 1967年生まれ、福岡県出身。岐阜県立森林文化アカデミー准教授。20代はNHKのディレクターとして「クローズアップ現代」などを担当。30代で木工に転じイギリスで家具職人に。40代から岐阜県立森林文化アカデミーで木工教員となる。グリーンウッドワークの研究・開発・普及をライフワークにしている。海外の木工家を日本に招いて講座を企画したり、自ら海外で講座や講演を行ったりなど、国際交流にも力を入れている。

商品の紹介

■書名:『グリーンウッドワーク 生木で暮らしの道具を作る』
■著:久津輪 雅(岐阜県立森林文化アカデミー准教授)
■発行:学研プラス
■定価:本体2,400円+税
■発売日:2019年8月29日

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