私達の世代にはなかった「小学校での英語」。「英語教育って早めに始めたほうがやっぱりいいのかな?」「もし英語教育を始めるならどんなことをしたらいいのかな?」という疑問をお持ちの保護者の方のために、英語を始める時期や方法についてまとめてみました。
みんなは、いつから英語学習を始めているの?
株式会社バンダイ(代表取締役社長:川口勝、本社:東京都台東区)が、未就学児(3歳~6歳)から小学6年生までの子どもを持つ保護者700人を対象に行った「お子さまの英語学習に関する意識調査」によると、実に5人に1人が幼稚園や保育園、学校以外で英語学習をしていることがわかりました。
学習のスタイルは、英会話教室や学習塾に通うという本格的な習い事から、英語のテレビやアニメを自宅で見せるといった自宅学習などさまざまなものがあるようです。
始めるタイミングとしては小学1年生が18.7%で最も多く、次いで小学5年生が13.9%となっています。小学校入学前の3歳や4歳はそれぞれ3位、4位ですが、合計すると25.4%となります。年齢ではなく勉強を始める時期としてみると、小学校入学前から英語学習を始める方が多いという結果です。
小学校での英語学習が始まる前に少しでも英語に慣れさせてあげたいという保護者の方の思いが強いようです。「あまり早くから英語に取り組むと英語を嫌いになってしまわないか」という不安をお持ちの保護者の方もいらっしゃるようですが、英語を学ぶ理由を子どもに尋ねた質問の回答では「楽しそうだから」「かっこいいから」という理由が上位にあります。
昔よりも英語が身近なだけに、子どもは興味の対象として英語をとらえているようです。
英語教育は早いほどいい?
アンケートでも小学校入学前から英語の学習を始める家庭が多いようですが、早い段階で英語学習を始めることに効果はあるのでしょうか。
幼児には、複数の言葉を1つの言葉のように学ぶ力があるため、バイリンガル環境を与えるのはよい、とする研究があります。一方、早期に教育を始めても、子どもの脳はその成長過程で1つの言語をより効率的に学ぼうと働くため、日本語以外の習得能力は下がってしまう、という研究もあります。英語の早期教育の有効性についてはいろいろな説があるのです。
子どもの英語教育を試行錯誤しつつ実践してきた私の経験では、英語を聞くということに関しては早いほうがいいように思います。
我が家の子ども達には2歳頃から英語絵本の読み聞かせなどをしていました。その後海外転勤で、長男は小学校1年~3年、次男は幼稚園の3年間、インターナショナルスクールに通いました。帰国時、長男は英語である程度の読み書きと会話をしていましたが、次男は英語での会話をほとんどしませんでした。
ところが、先日外国人の友人に「あなたの次男は英語で話されていることをすべて理解している」と言われたのです。また、自宅で次男が英語の絵本を読んでいるのを聞いてみると、発音がとてもきれいで驚きました。
子どもに限らず、語学学習においてはまずインプット「聞く」「読む」、次にアウトプット「話す」「書く」が大切であると言われています。次男の場合は、「聞く」というインプットがたくさんできていたのだろうと思います。英語には日本語にはない発音があり、中学校で英語を始めた筆者はいまだにsとshの発音が苦手です。子ども達がいとも簡単に発音や会話を習得しているのを見て、早くから英語の音やリズムに慣れておくのはいいことではないかと感じています。
では、何から始めたらいいの?
小学校の英語のスタートは「聞く」「話す」です。小学校入学前や、小学校低学年の早い段階で英語学習に取り組む場合は、教え込むのではなく、英語に親しみその後の英語学習にスムーズに取り組む下地づくりをすることを考えるといいと思います。無理に机に向かってドリルのようなものに取り組む必要はありません。まずは英語の音に慣れて、親しむことから始めてみましょう。
・「聞く」学習
例えば、楽しい気持ちになるような英語の歌を、朝起きてから登校するまでの間のBGMとしてはいかがでしょう。手遊び歌もおすすめです。YouTubeでも視聴可能ですので、お風呂上りに10分などと決めて、一緒に遊ぶと盛り上がりますよ。
・積み木やアプリなど、遊びながら英語に親しむ
お子さまはどんな遊びが好きですか? 遊びの中に英語を取り入れるのもおすすめです。幼児で塗り絵が好きなら、英語で絵の説明が書かれた未就学児用の塗り絵はいかがでしょう。アルファベットが描かれた積み木などもあります。
小学校低学年でゲーム好きな子どもなら、ゲーム感覚で楽しめる英語のアプリに挑戦してみるのもいいかもしれません。小学校高学年でいくつか単語を覚えているようであれば、英語のクロスワードパズルなども家族で盛り上がれます。
アンケートの結果でもあったように、英語に「かっこいい」といった憧れに似た気持ちを持つ子どもも多いようです。一番大切なのは「英語は楽しい」という経験をたくさんさせてあげることです。まずは、「聞く」ことや、子どもの好きな遊びの中に英語を取り入れることから始めてみてはいかがでしょうか。
ライター:沖藤 陽子
小学校教諭、養護学校教諭(5年)経て、青年海外協力隊(西アフリカ、セネガル)に参加。その後、長男出産直前までJICA(国際協力機構)専門家として西アフリカの初等教育プロジェクトなど、6年にわたり国際教育に関わった。セネガル、ニジェール、カナダ、中国などさまざまな国で暮らし、インターナショナルスクールで学んだ2人の男の子の子育てと執筆に奔走するママライター。
※このコラムは、「ガッケン!ハッケン!学研ゼミ 保護者のよみもの ハッケン!みっけ!」に掲載されていたものです。
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